2022年11月4日金曜日

さんぽニスト、旧東海道をゆく。其の九

今回、初めての「お泊りさんぽ」を決行しました。東海道さんぽもずいぶん遠くまで行きましたし(とは言ってもまだ半分も来てないぞ)、これまでのように日帰りで行って帰ってというのがあまりに効率が悪いので。時間的にも費用的にも。
「お泊り」ってのは単純に楽しみが大きいので、それについてはすごく満足してたりするんですけど、こと自分スタイルの「さんぽ」からすると、その日の宿泊場所という「ここまで行かないとならないゴール」が設定されているというのは、ちょっと違うんだよなーと思いました。無理はしない、疲れたら休む、帰りたくなったら帰る、がスタイルなので(「ゴールを設定して歩くと・・・」という話は以前日光街道を歩いたときにも感じてました→コチラ
おまけに、今回は安いパック旅行だったので帰りの指定席も決まってて、となると「何時までに駅に到着しないとならない」という制約もあったわけです。改善の余地はありそうですが、制約ってのがどうも自分らしくないなと。

*  *  *

そんなわけで豪勢にも新幹線と在来線を乗り継いでやってきました新蒲原駅。前回ゴールの蒲原宿からリスタートします。今日は快晴だいっ!

まずは西に向かって一直線。右に見える東名、左は線路と海。この道はまるで滑走路(違)。

ほど近い由比宿はすごく小さい宿場だけど、道路がクランク状に曲がる桝形が残ってたり、桜えびを売る小さなお店が軒を連ねてたり、風情は抜群です。
つい半月前に試飲して抜群に美味かった銘酒「正雪」の蔵元・神沢川酒造を見つけてしまったのがなんか嬉しかったな。ただここから歩きますからね、おあずけ、です。


由比駅(蒲原も由比も現在の駅の場所と宿場の位置がズレている。わかりにくい)を過ぎるあたりから道はじわりと上りにかかる。目の前には山が。
それが本日のメインイベント、広重の絵でも有名な「薩埵峠」(さったとうげ:たは土へんに垂、と文字コードの関係で表示されないかもなので書いとく)。幸い天気にも恵まれてるし、その絶景を楽しみに急勾配をふうふう言いながら進む。左には穏やかな相模湾と向こうに伊豆半島、そして道の左右にはみかん畑。

ところで、そのみかんの話。さすが静岡、道すがら無人販売で早生みかんが売られてた。5個ぐらいで100円。このときは「荷物になっちゃうしな」とスルーしてたんだけど、実はこの先コンビニとか自販機とか少なくて、水分・ビタミン補給のためにも買っておけばよかったと後悔することに。次は買おうと思うと今度は売ってないんだよね。

由比側の駐車場からいよいよ遊歩道に入って展望台へ、と思ったら[通行禁止][展望台へは行けません][迂回路を]の貼り紙が!!
崩落らしいですが嵐を呼ぶ男のせいじゃないよな!聞いてないよ~!と思いつつ、後で調べたら実はGoogleMapにも展望台のところに「臨時休業」の表示がちゃんと出てた(^^;

というわけで迂回路に入ってみましたが、まずびっくりするぐらいの急斜面の下り。スキー場の上級者コースで「滝」なんて呼ばれる場所みたいな感じ(一部の人にしか伝わらないような気がする)。クルマもローギアでもがくように上ってくる。下りきって脇道に入って、その下ったぶんを今度は上ってく。そりゃ当然か。
GoogleMapにも「道路」は示されてない。もちろん舗装もされてない。かろうじて丸太で階段が作ってある急勾配、人ひとりようやく登れる幅の森の中の道。「これ、合ってる?」と心配が頭の中に充満したところで先行していた団体さんに追いつく。先を譲ってもらいつつ、先頭のガイドっぽい人に「迂回路でいいんですよね」と。「ええ、これがごぼう坂(小さな石柱には「牛房」とありましたね)、もう少しで上に出ますよ」。

木々の間から光が差し込み、そして空が見え、さらに眼下に海が見えたときの達成感たるや(笑)。相模湾が何倍もきれいに見えます――。そして振り返れば、「おおこれぞ広重!」な景色が!!


薩埵峠の下りもそこそこ厳しいが、「あの上り」に比べたら軽い軽い(笑)。ちゃんと整備されてるしね。

下り終わると興津エリア。なんとも説明できないんだけど、ここの下りきった直後のあたりが非常にのどかですごく心地よかったんだよなー。たぶん難所攻略の安堵感もあるんだろうけどね(^^;

興津川を渡り国道1号線に合流して興津宿に入る。
並行してをバイパスが走ってることもあるのかな、すごく交通量が多いわけでもなく、穏やかな街並みを見ながら整備された広い歩道をなんとなくすーっと通過していく、そんな感じでした。


国道1号を進みながら、だんだんと清水エリア(≒江尻宿)に近づいているわけですが・・・なんか町がめっちゃ静かなんですが――その印象は清水駅前に来ても変わらず。サッカーを見に来たこともないので、初清水なのですが、こんなもんなん??
銀座という地名の一角だけ、折からのハロウィンでたくさんの子供たちが盛り上がってましたが、それも数百メートルのこと。この日はJリーグあったはずなんだけど、ポスターとかもあまりないし・・・清水、こんなもんなん? 知らんけど。


江尻宿を出ると、JRとしずてつ(静岡鉄道)の線路と並行するようにしばらく旧道は進みます。静かな住宅街です。いやホントに静か。「しずおか」ってそういう意味?と邪推するぐらい静か。

で突き当たりにあったのが草薙運動公園。静岡高校野球のメッカ、草薙球場です。もちろん中には入りませんでしたけど、秋の大会なんでしょうね、応援の太鼓の音が聞こえます――太鼓ってけっこう響くのね。500メートルぐらい行き過ぎてもまだ聞こえてました。
僕も高校野球大好きなもんで、自然と「がんばれー」と球場に向かって声をかけてしまいましたです。春の甲子園でまた会いましょう(上から目線)。後で調べたら、東海大会準決勝だったようです。

少しずつ高いビルが目立つようになってきました。いよいよ静岡の市街地、すなわち府中宿が近いようです。住所は「葵区」、なんとも徳川感がマシマシであります(笑)。
甲州街道水戸街道にも府中宿がありますが、要するに国府(ここの場合はは駿河国の国府)の中心に宿場を置いた、ということですね。

というわけで府中宿に入ったならば、何はなくとも駿府城です。家康公にはご挨拶しとかんとならないでしょ。


って銅像が想像の倍ぐらいデカかった!
なんだか「さすが松本潤」としか言いようがない(嘘)。

巨大な城址公園というわけではないですけど、まさに街の中心に公園なんだなーと実感します。走り回るこどもたち。デートを楽しむカップル(アベック?笑)。わんこのさんぽ。おでんで一杯なおじさま。コーラスグループのご婦人たち。なぜかリコーダーを練習しているおじいさん2人組。いいじゃないですかー!!
ちなみに11月に行われる大道芸ワールドカップの準備中でした。

駿府城公園を出ると、お堀端ではアイドルさん?が路上ライブやってたり、小さな子供がハロウィンのコスプレしてたり、駿府城と静岡駅の間、大盛り上がりですわ。さすが県庁所在地。さすが国府。今日、初めて人を避けながら歩きました(笑)。

まあ市街地であればあるほど特に見るべきものは・・・なので早々にホテルにチェックインしましょうかね。(翌日につづく)


今回の行程:蒲原宿~由比宿~興津宿~江尻宿~府中宿。有名な由比漁港の「浜のかきやげや」に立ち寄ってみたものの朝早すぎて営業時間外。朝からかきあげはないだろうと言い聞かせて通過(残念)。清水駅近くでランチタイムになったが営業してる店もほとんどなく、清水追分のコンビニで菓子パン補給。夕食で静岡おでんと生しらすを食べられたので概ね満足。
ここまでの行程:[1] 日本橋~川崎宿 [2]~保土ヶ谷宿 [3]~藤沢宿 [4]~二宮 [5]~箱根湯本 [6]~箱根宿 [7]~沼津宿 [8]~蒲原宿 [9] ~府中宿



0 件のコメント: