街道さんぽを始めた2016年。東海道から歩き始めたわけだけど、ひとつの区切りとして箱根の関所までたどり着いてないということが心のどこかにずっと引っかかってて。
一方で、峠を上るなんてのはもはや自分らしいお気楽な「さんぽ」のスタイルではないんじゃないか、そんな思いもあったり。
天気も良さそう。季節もいい。ちょっと遠くにも出かけてみたい――いろいろな状況がうまく重なって、ようやく、5年ぶりに東海道に戻ることを決断しました。
今日はここから。
— 144factory [kaz144] (@144factory) October 29, 2021
けっこう涼しい(寒い#旧東海道 #箱根湯本 #三枚橋 #さんぽニスト pic.twitter.com/GnWlHLTRUN
朝っぱらの箱根は寒い。快晴で風もないのに、ウインドブレーカーを着込み、ネックウォーマーも装着して須雲川に沿うようにスタート。
箱根湯本の温泉街はいきなりの上り坂。もう少しじわじわと上ってくのかと思ってたわ。心の準備が(笑)。とりあえずもう一度脚のストレッチ、しておきますかね。
ちなみにこの箱根湯本から上っていく道は県道732号=現「東海道」。並行しているバイパスが国道1号線「箱根新道」(宮ノ下のほうを通る箱根駅伝ルートも国道1号の東海道です)。県道を縫うように進む旧道が「箱根旧街道」と呼ばれています。「東海道」は案外クルマ来るんでちゃんと端っこ歩きましょう。人はわずかだけど(^^;
で、湯本の大きなホテルがまだまだ見えるエリアで最初の旧街道に入ります。もちろん石畳。
まず思ったのが「ランシューじゃなくて良かった」ってこと。普段のロングさんぽのときはランニングシューズ(NIKE Zoom Rival Fly2)なんだけど、今回は石畳エリアがあるので、トレッキング的なの(KEEN Jasper2 WP)を履いてきたの。それでも滑りそうな不安はあるから。
この時点で「さんぽ」のレベルじゃないな、とは思い始めてる。
東海道まで戻って、ふと空を見上げると快晴。でも木々に遮られて直射日光がほとんど入ってこない。朝なのに夜が明けてないような不思議な感覚。これが山深いというのだろうか。
なので気温はまだ上がってこない。ところが石畳のせいかじんわり汗が出てきた。ウインドブレーカーはもうお役御免(^^;
何度かの旧街道を上り切ると、ようやく間宿(あいのしゅく)である畑宿に出る。「ようやく」って書いたけど、距離も時間も大したことはない。だけど「ようやく」って言いたい、そんな感じです(^^;
間宿ってのは宿場と宿場の間にできた「休憩エリア」ってところかな。小田原から箱根はそれだけ厳しい区間、ということなんだろうね。
寄木細工のお店は朝も早よから開店してたけどあんまり興味がないので通過。そういえばここで初めて観光客とおぼしき人とすれ違ったな。
畑宿の外れの一里塚から、また旧街道なんですが、これが強烈だった(のだが後にそれ以上のところが出てくることを僕はまだ知らない)。東海道が大きく回り込むところを直線的に上っていく――つまり斜度が急ってこと。「さて行きますか!」と自分を鼓舞しつつ(^^;
視線が低いこともあって、目の前に石畳があるような感覚。うまく体を持ち上げられるような角っこに足をかけてクライミングでもしてるように歩を進める。ふうふうふう。
途中箱根新道の「上」を渡るんですが、どういう構造??
ふーっ。ようやく東海道に戻ったーって思ったらそこが「七曲り」。急勾配のつづら折りです・・・いくつかカーブを曲がってさらにそこから急な階段(!)で旧街道の橿木坂に。なんでも古くはここが一番急坂だったらしいっすよ。
それにしても景色見てる余裕がない。石畳は足を着くところをちゃんと考えないと足首ぐにってなっちゃうから、どうしても下を見なきゃならないからね。階段も言わずもがな。
橿木坂のこれでもかと続く階段――途中まで何段あるか数えてたんだけど脳内酸素不足により途中でわかんなくなった――を上り切っていったん立ち止まる。深呼吸して息を整えないと。ふぅぅぅぅぅぅ。
僕のスマホには何枚かの空や木立の写真が残ってるんだけど、そういう景色の写真を撮ってるのは、こうして立ち止まって休憩してるときってことなんです。そうなんです・・・。
斜度のないところは道幅が狭くて両側から生えてる草をかき分けるように進み、上りでは石畳の苔と微妙に湿ってるとこでちょいちょい足を取られ、そして手も使って上るのか?とばかりの急斜面・・・その名も「猿滑坂」。いやーん。
それだけにたどり着いた「甘酒茶屋」のありがたいことったら。人生イチ美味しい甘酒をいただきました。400円安い。マジで2000円までなら出す(笑)。
囲炉裏に火が入ってたりしてね、あわやお尻に根が生えて動けなくなるところだったわ~。
さあ上りもあと少し。「ここは雪降ったらそこそこ急斜面ゲレンデ」とか思いながら少しずつ少しずつ(大股じゃ歩けません)石畳を上ります。脳内では「マジヤバい」しか言葉が出てきてません(笑)。ぜえぜえぜえ。
お、頂上?と思しき場所に石碑が。おなじみの『箱根八里は馬でも~』が刻まれてますが、いや馬は無理だろ、と思いますよ。馬は上れても、馬の背の人間は落ちるね。実感として。
そんなわけで展望広場に寄り道する元気もなく先へ進むと、ラストは下りになります。箱根駅伝5区でもおなじみですね。
下り怖いよぉ・・・。加速がつくというのか、滑りそうな不安はマシマシだし、正確に石を捉えないと捻挫しそうだし・・・。マジで足元しか見てません。周囲の記憶がまるでありません(泣笑)。
で、ラストのラストは急すぎて、足を横に向けてまるでスキーのようにエッジを立てて(=石の隙間に足を入れつつ)1段ずつ安全第一で下りました。
こんなんさんぽと違うわ!!
ふと視界が開けて右のほうを見やると、箱根駅伝の中継でも登場する元箱根のガソリンスタンドが!ついに山道を抜けたか!!
そんなこんなで芦ノ湖、そのほとりに箱根神社の鳥居、そして遠くに富士山が見えたときの感動というか喜びというか興奮というか、ちょっと言葉にならないなぁ。
あえて言うなら「生きてたどり着けた」か(爆)。でも江戸時代の人は本当にそんな感じだったのかもしれないなぁ、などと思ったり。
ちなみにちなみに現在の箱根旧街道は、関東大震災などで崩れてほとんど残っていなかった道を神奈川県が後に整備したものだそうで。整備してこれですからね、当時の道は推して知るべし。わずかに残った「江戸時代の石畳」という標識が立っているところもありました。
ここまで来ればあとは一直線。平地って歩くの楽だわー(あたりまえ)。
杉並木を抜け(ちなみに杉並木の入口近くにある一里塚は、江戸から24番目の一里塚。24×4だから、えーっとざっくりここまで100km)、湖畔に回り込んだところに見えました!黒く輝く箱根関所!!
江戸口御門から入って京口御門から出ると(すっと通過しました笑)、ついに箱根宿です。
ちょうど本陣があったとされるのが箱根駅伝往路ゴール地点のあたり。まさにゴールにふさわしいポイントかなと思います!
ゴールっぽい。#箱根宿 #旧東海道 #さんぽニスト pic.twitter.com/QMjull84qe
— 144factory [kaz144] (@144factory) October 30, 2021
付け加えるならば「峠越えて三島宿まで行く」なんて考えなくてよかったよ、と。
いつものロングさんぽを考えればここまで距離はあまりないので全体的な疲労感は少ないんだけど、石畳を歩いたダメージが足首にだけ感じられる。この先もアップダウンと石畳あるし、それ考えたら三島宿なんてムリムリ(^^;
復路スタート地点(同じ場所)から元箱根に戻るように歩いて、箱根神社に無事到着の御礼を申し上げて、今日はここまで。温泉宿に泊まりたかった・・・。
そういえば芦ノ湖畔は直射日光が当たって暑かった(^^;
今回の行程:箱根湯本~畑宿~元箱根~箱根宿。途中休憩の甘酒茶屋で力餅(うぐいす:きなこ餅ですね)をいただいたので、お昼ごはんは観光客溢れる箱根では食べず、帰途の小田原駅の駅弁。おみやげはベタに箱根の温泉まんじゅうと小田原のかまぼこ。
ここまでの行程:[1] 日本橋~川崎宿 [2]~保土ヶ谷宿 [3]~藤沢宿 [4]~二宮 [5]~箱根湯本 [6]~箱根宿
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