その中の一冊が「ソロモンの犬」。
日々楽しく過ごす大学生4人組。が、ある日彼ら共通の「幼き知人」が事故に遭ってしまうことから少しずつ疑念が生まれてくる――本当に事故なのか、と。
これはサスペンスでミステリー。
でも同時に青春小説でもある。僕の胸の奥のほうの、小さな震えが静かに、静かに、止まることなく続く。
でも「犬」なのだ。
動物保護とか、そういうある種流行りのトピックにも思いを寄せながら、このタイトルに込められた意味もまた考え続けることになる。
でも、やっぱりミステリー。それもとてもとても高質なものだと思う。
考えるよりも先を読みたくなる、そうした吸引力が見事に高質。
だって、明らかに伏線のように見える事柄の、ひとつ何かが明らかになると、あるいはひっくり返ると、また次の何かが疑問として残る。
その繰り返し。
ぐいぐい読まざるをえないよね。
序盤から、僕の中にはほの暗い「予感」のようなものがまとわりついている。
それは物語の中に何か確信めいたものを見つけたということではまったくなくて、何かすごくいやなところに着地してしまうような、そういう予感だ。
不安と言い換えてもいいかもしれないが、じわじわとそれが大きくなってくる――まさかわざとそう読ませてる?だとすればいい意味でたちが悪い。
そしてその「予感」は・・・それも思いもしない形で・・・。
そんなどんでん返しある?・・・と思ったらまだまだ物語はひっくり返る。うひゃー!
これだけぐるんぐるんひっくり返しといて(僕は翻弄されて)、それでもちゃんと着地地点には整合性があるんだもんなぁ。整合性だけでなくて「希望」まで。
いやはや参りました。
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