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家に戻ったわたしは、マサさんの「連続した戸籍謄本」を眺めていた。
マサさんの祖父など、わたしがまるで知らない人物名が記載されていたり、あるいは名前だけは聞いたことがあるような親戚も載っている。
人ひとりの一生の関係者の数の多さを思う。これで親戚づきあいが濃かったら、いろいろ大変だっただろうな、とも。
と、そのときふと気づく。
「これが司法書士が言ってた『戸籍・除籍・原戸籍謄本』のことか」
わたし自身も忘れていた。登記のために戸籍を取得する際に、余分に取得して1部をこちらに送ってくれと頼んでいたことを。
わたしはすぐにメールを打った。
「戸籍、余分に取っていただくようにお願いをしておりましたが、いつごろになりますでしょう」
そのメールの返事はなかった。が、翌々日に郵便物が届いた。メールが届いて即日発送したということだろう。
中身は連続した戸籍謄本、わたしが自分で取得したものと内容は同じものだった。先に送ってきてくれていれば、と思わずにはいられない。
催促といえば、よしだ内科に頼んでいた診断書も届いていない。改めて電話をかけて診断書の催促をした。話を聞くにこちらもどこかで滞っていたみたいだ。
こちらも催促から数日後に届き、A保険の入院保険をようやく請求できた。
誰かに何かを頼んで、引き受けてもらったと思っていても、都度催促しないとならないのか。あまり自分の周囲でこういうことが起こらないので、がっかりもしてしまった。
が、話が進んだことは確か。しかたがないことと割り切ろう。
戸籍が入手できたので、相続関係の書類を一式まとめてN銀行に送付した。こちらは結果待ちだ。
ちょうどそのころ、マサさんの老人ホームの精算処理が終了したとの連絡が入った。
マサさんの部屋にあった荷物で、使えそうなものはあっちゃんの部屋に移してくれたそうだ。椅子とかかな。
そのあっちゃん、相談員のマツイさんによれば穏やかに過ごしているという。
何らかのショックを受けているのではないかとも心配していたが、どうやらそれはなさそうで良かった。実際かなりの期間離れて暮らしてたからな、いないことにも慣れていたか。
区役所からはマサさんが払っていた市民税県民税――督促がきていてわたしが支払ったものだ――の承継についての連絡が届いた。あっちゃんに代わって手続きを行い、支払いも済ませた。
ちなみに、この市民税については後日一部還付されることになった。戻してもらえるのはありがたいが、払って戻してという手順に対して訝しがるわたしではある。
「なんだそれ」