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12月中旬、わたし宛に見知らぬ会社からの郵便が届いた。
普段なら開封もせずに捨ててしまうようなダイレクトメールにも見えたのだが、マサさんやあっちゃんが買った通販の代金督促とか、あまり思い出したくない事象も過去にはあったので、わたし自身も少しばかりセンシティブになっている。
差出人を見ると、マサさんの実家の隣県にある企業、SR社からのものだった。
「なんだろう」
開けてみると、わたしがマサさんから相続した土地の一部の活用の提案と会社案内だった。
ウェブサイトも含め、会社案内を確認すると、主にソーラーパネルの設置を手がけている企業のようだった。
この手の企業には正直あまりいい印象は持っていないので、通常なら無視、そして破棄していたかもしれない。だが、あの使いみちのない土地の話だ。そこはちゃんと考えなければならない。
念のため、将来この土地を継ぐ可能性の高い息子にも話を聞いてみた。
「1円でもいいいから手放せるならそれに越したことはないよ」
まったくそのとおりだ。
提案の内容をよく見てみると、ソーラーパネルではなく、蓄電施設の建設計画のようだ。
ただし条件が少々複雑で、SR社から電力会社に申請を行い、それが通ったらいよいよ土地を買収し、建設を進めるということのようだ。その認可度合い(費用補助も下りる可能性がある)によっても売買価格も変動するし、そもそも却下される可能性もある、と。
あの土地の周辺事情を考えると、そうした計画が持ち上がるのはわからないでもない。
つまり眉唾である可能性は低いと考えられる。
まずは電話して話を聞くしかないだろう。
「先日お手紙をいただいた土地の件なのですが」
SR社の代表と話をしてみた感じ、単純に悪い印象はなかった。
内容としても提案書に書かれていたものと齟齬はない。
『ただ、申請から認可まで半年、あるいはそれ以上の時間がかかる可能性があります』
そのため実際に進める際にはまずは「売買合意書」、つまり売買する約束はいったんしておくとして、認可が下りたら実際に売買をします、却下だった場合は売買はなかったことにします、という書面を取り交わしたいということだった。
他に売られても困るだろうし当然の措置だろう。
「なるほど話はわかりました。その方向で進められればと思いますが、こちらからもひとつ条件があります。現在のご提案では当方の土地の一部を買いたいということのようですが、こちらとしては切り売りは望んでいません。買っていただく場合には区画すべてを購入いただきたいのです。代金は上乗せいただかなくて構いません」
『承知しました。ではその方向で売買合意書を準備させていただきます』
相続してから間もない土地ということもあって、売買後にはしっかりと課税されることのようだ。4割近くになるという。計算するとがっかりする気持ちも出てきてしまうのだが、息子が言っていた「1円でもいいから」という言葉を思い出しその気持ちを飲み込んだ。
クリスマスイブ、わたしとSR社との間での売買合意書の締結が完了し、SR社は電力会社への申請の手続きに入った。
いい知らせというプレゼントは届くのだろうか。首を長くしつつ気長に待とう。
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