日曜日夕方の関越道上り線。
いつものように渋滞が始まった。
嵐山小川ICを過ぎたあたりだっただろうか。左車線で動かない僕の右側を観光バスがゆっくりと追い越していく。派手にラッピングされたその車体をなんの気なしに見ていたそのとき、僕はあることに気づいた。
路線バスなど、後部の行き先表示のある部分に見たことのない文字が表示されていたのだ。
[緊急事態発生]
「え?」と一瞬頭の中がフリーズするような感じもあったが、すぐに「これはテレビで見たやつだ」「SOSだ」と思い直し、車線を変更してバスの真後ろに位置取った。
念のため助手席にいた友人に確認する。「緊急事態って表示されてるよね」と。
 |
| 撮影は助手席の友人。後部の広告は念のためモザイク処理しました。 |
あまり現実のこととは思えないが、最悪のことも可能性としてはある。相談して110番通報することにした。掛けたのは助手席の友人である。念のため。
『関越道の上り線で。はい。観光バスの後ろに[緊急事態発生]と出ています。はい、ええそうです。ナンバーは・・・・。はい、大丈夫です。よろしくお願いします』
高速隊に連絡して対応してくれるという。
渋滞をゆるゆると進みながら改めてバスを見てみると、車体の後部の変な位置で青いLEDが点滅していた。通常ライトのある位置ではないので、あれも連動しているサインだろう。
バスの挙動というか、走行そのものには違和感はない。
「バスジャックとかで出る表示だってテレビで見たよ」
「運転手さんの体調が悪いとか」「それなら路肩に寄せるとかするでしょ」
「お客さんに急病人」「パーキングエリアとかバス停とかに停めて救急車呼ぶよ」
「今後ろからパトカーのサイレン聞こえなかった?」「いや、聞こえてない。でもさ、もしバスジャックでサイレン鳴らしたらまずくない?」
「乗客同士のケンカとか」「ああ、それなら運転手は微妙に対応できないかも」
バスの後ろを走る僕の車の中は、心配する気持ちと、申し訳ないがちょっとした興奮状態にもあった。「あのバスを追ってください!」的な。
「運転手さんが誤ってスイッチ押したってのが一番ありそうだけどね」
「パトカーはどこから来るんだろう」「追っかけてきて追いつかないパターンも困るし、この先の東松山インターから入ってくるのが一番ありそうだよね」
そう言ってたら、東松山ICの出口と入口の間、茂みの間に人影が見えた。
「あ、あれ!おまわりさん!」
バスのほうを確認した警察官は入路に停めてあったパトカーに駆け込み、サイレンとともに発進させた。動画もあるけどアップしないでおくね。
『バスの運転手さん、路肩に寄せて停めてください』(実際には聞こえなかったんだけど)
バスは素直に左に寄せて停車した。
僕はその横をゆっくりと通り過ぎていく。
「ちゃんと停めたってことはバスジャックじゃないよね」
「乗ってた人も驚いたみたいな感じだった」
下り車線を数台のパトカーが東松山IC方向にサイレンを鳴らしながら走っていく――。
・・
・・・
――これが僕たちが目撃したすべて。
追加の情報が必要なら折り返しますと言っていた警察からの連絡なんてもちろんないし、ニュースになるようなこともなかった。
ただ、仲間内にこの話をしたら、「よく気づいた」「ちゃんと通報したのは良かった」と褒めてもらえた。それだけで十分。
それにしても何だったんだろねと、翌日Xを検索してたらひとつのポストが引っかかった(
→リンク:ちなみにこのポストの静止画のほう、バスの真後ろに写ってる黄色いのが僕の車のクロちゃん)。
うん、やっぱり何事もなかったんだよ。よかったよかった。
・・・あ、おかげで?渋滞中のストレスもゼロだったよ(^^;