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87回目の誕生日をあっちゃんは病院のベッドの上で迎えることになった。
その当日、その入院先の中央総合病院の地域連携室から、リハビリのための転院先についてわたしに照会があった。
「転院先についてはわたしのほうではまったく情報は持ち合わせていませんし希望もありません。対応については入居施設のグッドライフさんにお任せしていますので、いろいろ都合もあるかと思いますので、ご調整いただければと思います」
そして執刀医からも。
『術後のレントゲンの結果、骨のほうにわずかなヒビのような影が認められました。現在行っているリハビリのペースを落として、まずは車椅子から、ということにしながら、様子を見ていきたいと思います』
「承知いたしました。どうぞよろしくお願いします」
心配は心配な話ではあるが、心配してもしかたがないなという気持ちのほうがわたしの中では大きかった。医師がきちんと見てくれているということだから。
懸案の転院先のリハビリ病院については、その3日後に調整がついたとの連絡がある。
老人ホームからさほど遠くない、ながの病院。転院日は1週間後に決定した。
だが、その転院日の前日のことだった。
『退院前のMRIの検査で、別の骨折疑いが判明しました。転院は延期とさせていただきます』
87歳だもんな。そこらじゅうにガタが来ててもなんら不思議はない。わたしは案外冷静に受け止めていた。
だが、眼科の医師ですが、という電話がかかってきたときはさすがに驚いた。
「眼科、ですか」
『はい。まぶたに赤みが見つかりまして、眼科のほうで診察させていただきました』
診断は鼻涙管閉塞症。簡単に言えば涙の通り道である管に炎症が起こって詰まってしまったということのようだ。症状自体は重くはないが、その報告と治療法の相談ということだった。
「どの治療法がいい、という判断はつきかねますのでお任せいたします。基本的には本人の負担が少なくなるような方針でお願いしたいと思います。退院も近いかと思いますので、もちろん手術のような大掛かりなものは避けていただくのがいいのではと思います。素人判断ですが」
そうしたドタバタが繰り返されている中、延期されていた転院日が決まった。
当初の予定よりも2週間遅れだ。ようやく次のステップへ。
そう思っていた矢先。転院日の前々日。
『ご自身でベッドの監視センサーを外されて、おひとりでトイレに行こうとされてまた転倒されてしまいました』
またやってしまったのか。言葉を失う。
『今回は検査しましたところ特に問題はありませんでした。転倒されたというご報告になります』
問題がないということは何よりである。
それにしてもケガのことはある程度しかたがないが、想定外の行動を取るということ、すなわち認知症がかなりのところまで進行しているのではないかという心配は募る。
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