[146]
数ヶ月に一度更新をしている老人ホームでの個別機能訓練計画書が送られてきた。
あっちゃんの現状と今後の計画が記されているのだが、そこに『他の入居者様や職員ともコミュニケーション良好』という記載があった。
プライドが高くて「なんでこんなところにいなきゃならないのよ」と言っていた人だ。
そのあっちゃんが少しずつ環境に慣れ、周囲の人々に慣れ、そこで生活することに慣れてきたということならばこれ以上はない。
入居から1年半か。ずいぶん長い時間がかかったようにも思えるが、案外あっちゃんにとってはほんの数日間みたいなことなのかもしれないな。
今後もあっちゃんの外面の良さ、みたいなものがいい方向に進んでいけばと願う。
それが12月初旬のことだった。
同じころ、わたしの自宅に遠い親戚から現金書留で香典が送られてきた。
同封されていた手紙によれば、ヤスおじさんからの連絡で、マサさんの訃報を知ったのだという。
「また余計なことを」
こういうことをしてほしくないから連絡をしていなかったのだ。弔意を示していただくことを嫌だと言っているわけではもちろんないのだが、次に何かあったらこちらも何かしなくてはならなくなってしまう。そういう面倒な古い付き合いをわたしたちの生活から排除したかったのだが。
一応香典返しだけ手配をし、直接連絡を取ることはしなかった。
難しいこととは思うが、察してほしい。
面倒と言えば、介護保険や医療保険の過払いの還付の請求書類の記入がもう4回目になる。ふたり分なので枚数が多くなるのはしかたないとはいえ、同じことを何度も書かかされている。
「行政のDXはどうなってるんだ」
わたしは毎度ぼやいている。
145<[翳りゆくひと]>147





