理由を言葉では説明できないのだけど、タイトルの「ぼく」と「ぼくら」の間に置かれた読点「、」がすごく好きだなぁと思った。
そんなきっかけで手に取った樋口有介「ぼくと、ぼくらの夏」。
夏休み。高校生男女のコンビが、クラスメイトの突然の死の真相を調べていく、というのが大枠のストーリー。
コメディ風味もありつつもシリアスでハードボイルドなサスペンス。
ミステリーでありながら青春小説。さらに言えば家族の物語でもある。
中でも僕がいたくお気に入りだったのが、探偵役のふたりの関係性。前述の「青春小説」の部分。
思春期らしく、適度にひねくれている男子と、感情の起伏が絶妙な女子との丁々発止のやりとりがたまらない(笑)。
加えてこのワトソンとホームズのコンビは、ロミオとジュリエットだったりもするのだ!(ネタバレ:しかも二代目ロミジュリなのよ!)
“恋する女の子は、時代を超えて可愛らしい。戦う男の子は、世代を超えてカッコいい。それは年をとっても変わらない。時代が移っても古びない。”
巻末の解説に書かれていたこの3行が、すべてを表現してくれている。
この本が出版されたのは1991年。解説が書かれた新装版文庫は2007年。そして僕が読んで「痺れた」今は2026年。
風俗が、道具が、世界が大きく変わっても、古びないものは古びない。面白いものは面白いのだ。本当にそう思ったよ。
主人公の父親のクルマはオレンジ色のフォルクスワーゲン。たぶんビートルだよね。
まあコンプラ的に2026年にはアウトなことばかりだけど(苦笑)、むしろこれこそがリアルだよなぁなんてことも思ったりしてね。
すばらしく楽しい一冊だった。
ただし、描かれた「事件」の真相は胸糞悪くて反吐が出る。
(おまけ)
140ページに出てきた『社会秩序の問題だ』ってセリフ。これにはストーリーとは関係なしにものすごく共感してしまった。なんかすべての根本な気がしてね。
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