『その残像に薄化粧を施し、唇に紅をさしてやろう。』
筒井康隆「残像に口紅を」を読む。
章が進むにつれて使えなくなる文字が増えていく、という実験的小説だ。
文字が使えない、それはすなわちその文字を含む「もの」「こと」が表現できなくなるということ。「こと」なら別の表現を使うこともできようが、「もの」は物語の世界――作中では「虚構」と言っている――から消えてしまう。
そうした縛りの中で、物語そのものがエンタメとして成立しているのがまずもって驚きだ。
世界がどんどんと崩れ薄れていくというSFが見事に完成している。
言葉がなくなって小説が崩れていく様も「当然のこと」として受け止められる。作家としての「技術」に唸る。
なので、ぐいぐい読まされる。
が、一方で少しでも回りくどい表現に出会うと「何が消えたの?消えた言葉は?」と考えて考えて、ぜんぜん先に進まない(笑)。
必ずしもページをめくる手が止まらないということでもなかったりするのが、読書体験としてひどく面白くてしかたがない。
作者としては次の章で消える文字を、その直前の章で積極的に使っているようにも思えるし、「これかな?」と予想する、そうした推理も楽しみながら。
もしかして「きよこう」「げんじつ」の8文字は終盤まで残るのでは、などと想像するのもまた楽し。
やがて残りの文字が少なくなって、それでもリズミカルに文章が刻まれていく。
まるで韻を踏みまくったライムのようでもあり、あるいは和歌のような趣きも。すごい。
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というわけで、最初に消えた「■が消えた」ブログを書いてみました。2番目と3番目4番目も使ってないと思う。
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物語とは直接関係ないんだけど、各章の扉イラスト、上手すぎませんか?
■ル■カ、■いうち、た■き・・・動物をモチーフに消える文字をこうまで楽しく表現できるなんて!最後苦しくなって「でたらめ」なんて動物が出てくるのもよき。




