2022年11月2日水曜日

あなたの本、その中身は。

いつもと違う書店に入ると、本の並びも違ってて目につくものも違ってくる。この本もそういう感じで出会った一冊。
誉田哲也「あなたの本」、その新装版です。


サスペンスだったり、ファンタジーだったり、SFだったり、青春ものだったり、実にバラエティに富んだ短編集(新装版に際してさらに短い話――ショートショートってやつか――がいくつか追加されている)。
なのだけど、どの作品も共通して、ラストシーンでどんでん返しというか、世界が崩れ落ちるかのようなエンディングを迎える。
なんという衝撃。これは僕にとっては「ホラー集」だ。単純に怖いってことじゃないんだけど(怖いのもある)、「こわいこわいこわいーーーー」って叫びたくなるのよ(伝われ)。だってこんなにぞくぞくぞわぞわするんだもん。

こういう話で、こういう展開で、こうなってくればラストはこんな感じ?みたいな予定調和にはいっさい落ち着かない。どの作品も「ええええっ」ってなっちゃう。
それでいて前述のように元の物語の空気がぜんぜん違うもんだから、毎回新鮮に「ええええっ」って驚くことに。

「え、ホントに?」

そう思って何度読み返したことか。読み返せば確かにそうだったかと気づくこともあったけどね。

この一冊に出会った偶然と、この一冊からもらった衝撃。
さて「わたしの本」は本棚のどこにあるかな。

*  *  *

いくつか強く印象に残った作品について。

「天使のレシート」
SF映画の小品佳作を見ているかのような。
映画「アジャストメント」の『運命調整班』を思い出した。人の運命ではなく宇宙の命運を調整する役割なのだけどね(ネタバレすまん)。

「見守ることしかできなくて」
フィギュアスケートという題材も好きだけど、こういう話、たぶん好きなんだと思う。すごく小さな「ん?」と思った一語が大きな意味を持っていた。

「あの日、そして今日」
追加された掌篇から。これ、たったの1ページ。なのに!!!
こんなん人間不信になるわ(褒めてる)。


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