2019年9月13日金曜日

回転ドアは、順番に。

穂村弘×東直子「回転ドアは、順番に」を読了。2人の歌人・詩人が、恋人という体で、順番に言葉を短歌あるいは詩の体裁で綴っていくという作品、でいいのかな(たぶん)。

回転ドアに入れない男と自転車に話しかける女の物語。

何と言ったらいいんだろう。形としては交換日記あるいは往復書簡のような感じにも見えるけれども、相手に届ける文ではなくて、あくまでもその瞬間に感じる「自分」を表現する。
詩や歌は自分の目線になるのが普通だもの、あたりまえだよね、と思う。

同じ場面で同じものを見ているはずの2人が、ちょっと違うところを向いていたり、あるいは同じように感情がシンクロしたり。

行間に漂っている2人の時間が美しく思える。
アタマでは理解できない表現も当然あるんだけどね(^^;

その美しさは詩や歌に対する憧憬か。あるいは恋に対するそれか。

だってさ、「ふたりで迷子」って素敵じゃない?

ひとつの歌をじっくりじっくり読み直し、その内容が静かに静かに沁みてくるときの快感たらないわ。うん。

あと「字余りっていう余韻」は座りが悪くて心地いい。
あと、歌ってすけべ(笑)。

さらに読み進めると、しっかりと「2人の物語」になっていたことにも気づく。
引き込まれるように読み進める。1章ごとに戻ってもう一度味わう。

そして、本当に本当に唐突にびっくりするような展開に!!
こういう言葉の世界でこんなに驚くとは思わなかった(^^;

・・・ちょっと半泣き(T^T)

巻末に掲載されているセルフ解説を読みつつ、改めて冒頭から読み直す。

あああっ。

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