道尾秀介「いけない」を読む。
「~してはいけない」と題された3つの章+終章から構成される。
読みながら、吸い込まれるような、取り込まれるような危うい感触。
「してはいけない」と言われていることはしてはいけないのだ。だってそれだけじゃすまないのだから――。
冒頭に「本書のご使用方法」と題されたページがある。各章のラストに写真があって、それを見ることで“隠された真相”がわかる、と。
そして次のページには物語の舞台となる街の地図が。
単体で各章ごとに普通にサスペンスホラーとして成立しているのに、ラストにそういう仕掛けを施してるとは。作者も人が悪い(褒めてる)。
軽々しく使いたくない言葉だけど、「鳥肌もの」。その鳥肌を抑えようと、見つけた「新たな」「別の」真相を胸にもう一度読み返す。そして「新たな」「別の」恐怖を感じる。その恐怖を抑えようと、さらにもう一度・・・。
・・・ぜんぜん読み進められないじゃないか(^^;
でもね、「見つけたこと」が本当に本当かどうかもわからないのよ。読者に委ねられたというか、勝手に納得しておいてねと投げかけられたかのような。
深かった。すごく怖くておもしろい一冊だった。
っていうかさ、この物語の真相を知恵袋とかで質問すんな。台無しや。
* * *
登場人物のひとりが、自分の息子の「初めての買い物」の思い出すシーンがある。じぃぃぃんとしてしまった。僕もまた、思い出した。
『抱き上げると、汗ばんだシャツの中で、華奢な肋骨の内側で小さな心臓が驚くほど激しく鳴っていた』
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