2022年2月3日木曜日

開化鉄道探偵、再登場。

開化鉄道探偵」の続編、山本巧次「開化鉄道探偵 第一〇二列車の謎」を読了。

前作が維新直後の“鉄道黎明期”だとすれば今作は少し時代が進んで明治中期の“鉄道拡大期”と言っていいか。開通した高崎線(上野-高崎間)が物語の背骨になる。

開業したばかりの大宮駅で発生した「人為的」な貨物列車の脱線事故。その積み荷から見つかった千両箱をめぐって舞台は始発駅・高崎へ。
徳川の隠し金なのか。鉄道、警察、商家、養蚕農家、没落士族、過激派・・・さまざまな人々とそれぞれの思惑が複雑に絡まり謎は深まっていく。その謎に元八丁堀の草壁が挑む――。


前作よりも時代が進んだこともあって、鉄道と社会との関係性には少し変化が見える。概ね好意的に受け入れられているというか。ただ貧乏政府ということもあって、この高崎線は「私鉄」だったのだとか。目から鱗。

政府だけでなく、世の中そのものが貧乏だったところに出てきた隠し金騒動。設定の妙ですね――というか、どこからかノンフィクションのような気持ちで読んでたよ。

草壁探偵と助手の小野寺コンビもいい感じに一体感(小野寺くんは否定するだろうけど)も出てきてるし、綾子という仲間(?)も増えて、絡まりまくった物語が一気にほぐれていく爽快感は格別でした。

ところで、絡まりまくった物語とあいまって登場人物がすごく多くて(全員怪しく見える)、中盤少しすぎたあたりでいろいろわかんなくなっちゃったので、頭から読み直しましたです(^^;

あと、主要な舞台となった高崎の町や事件の起こる倉賀野、烏川といったあたりは中山道さんぽで歩いたところなので、なんとなく風景が想像できたり、「ああ、あの鉄橋とカーブか」なんて思い当たったり、そんなところも嬉しかったな。

というわけで本作も存分に楽しませていただきました!


0 件のコメント: