久しぶりの“読み鉄”です。
山本巧次「開化鉄道探偵」を読了。
明治の初め、日本に少しずつ鉄道網が広がろうとする中、京都-大津間のトンネル工事で多発する不自然な事故を調べるため、元八丁堀同心の草壁が現場に向かう――というお話。
楽しかったなーっていうのが読後の最初の感想。
誰がいったい工事を妨害しようとしているか、というフーダニットのミステリーとしてのおもしろさはもちろん(途中までは推理できたんだけど真相まではわからんかった)、明治初期の時代の空気というんだろうか、時代背景と鉄道敷設という取り合わせがとにかく楽しかった。
明治新政府における薩長のパワーゲームとか(中心的登場人物の中にも実在だった人もいる)、諸外国の思惑とか、急速な時代の転換期とそれに取り残される人たちの生活とか、それがあるからこそのミステリーの深みみたいなものにもつながってのかな、なんて思ったり。
作中の表現を借りれば「日本の血管」となるべき鉄道網整備こそが近代化を進める上で必要なんだという人々の信念、その熱量もワクワクしてしまった。
うん、楽しい小説だったなぁ。
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