よく文章を評して「風景が見えるかのよう」という表現を使うことがある。この本からは冒頭から「音が聞こえた」気がした。
線路から伝わる走行音、車輪と線路が激しく摩擦する緊急ブレーキの音。
何かが弾けるような音が重なる。胸が締めつけられる――。
赤字ローカル線の再生を目指して起業した3人の男女の奮闘を描く、“元気出る系”のいわゆるお仕事小説なのだけど、ページをめくる手が止まらない。せつなくもエキサイティングだ。
ベタだけど、「D列車」の「D」はもちろん“DREAM”。シニカルな見方をすれば、ちょっとリアルからは遠すぎる気がするし、予定調和だし、解決してない問題が山積な気もするんだけど、それでも大変心地のいい夢物語だった。
『大学四年生のときにたまたま何を考えていたかなんてことで、人の一生が決まるわけがないのだ。』
なるほど。でもまあ、そう思えないこともあるから「夢」なんだけどね(^^;
それ以上に僕が主人公に憧れたのは、彼らの行動ではなく、彼らの人間関係そのものだ。こういう人間関係が欲しかった。その人たちとこういう未来を描きたかった。そういう憧憬の念を強く思う。
ちなみに主要登場人物と同姓同名の人物を知ってるんだが・・・姓名判断もあてにはなりませんね(^^;
読了後、映画「RAILWAYS」(中井貴一版)が見たくなったなーって思ってたら、amazonのレビューに同じこと書いてた人を見つけた。ちょっとうれしい。
田舎の車窓に流れる看板の話・・・その中に金鳥やフマキラー等と並んで「オガサカスキー」が出てきてほっこり。
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