2023年10月24日火曜日

浜村さん、お久しぶり。

通算12作目の10冊目、青柳碧人「浜村渚の計算ノート 10さつめ ~ラ・ラ・ラ・ラマヌジャンを読みました。
前作を読んでから3年半ぶりですから、なんだかすごくお久しぶりな感じがします。通算11さつめ(9さつめ)のときのブログは→コチラ


そういえば今までこの本のことであらすじみたいなことを書いたことがないような気がします(笑)。
学習指導要綱の改定によって理系教育が不要とされた世界。それに反対するドクター・ピタゴラス率いる反政府組織「黒い三角定規」が起こす凶悪事件を、警視庁の特別班とともに解決に導く数学大好き少女・浜村渚の物語である!ばばーん!!

まあそういうサスペンスがベースではあるんですけど、数学をモチーフにした事件を、数学のすばらしさで解決していく(?)という、どっちかっていうと理系の知的好奇心をエキサイティングなストーリーでくすぐりつつ、いろいろ紹介していくってほうが近いのかなぁ。少なくとも僕はそういう読み方をしてて、終始「へーっ、知らなかったなー」って思いながら読み進めてます。

今作には4つの「事件」が収録されていて、1本目が古代中国の「九章算術」をモチーフにしたもの。生活や行政に密着していてかつ高度な算術の話だ。

2本目が、苦労した覚えのある「ベクトル」の話。

そして3本目。ここで起こる事件は実は「数学じゃない」ってのがミソ。過去にもなかったパターンだと思う(なんやかんやで一応サスペンスですからこれ以上書きませんけども)。
だけどこの話はすごく好きだったなぁ。だって誰しも一度は通ってきた道じゃない?

4本目、サブタイトルにもなった天才ラマヌジャンを育んだインド数学がテーマ。
事件のことはちょっと置いておいて、このラマヌジャンさんにまつわる「タクシー数」(各自検索して調べるように)の話も素敵かつ好奇心をくすぐる美談なのだけど、もうひとつのキーになる「カプレカー数:6174」にはかなりワクドキさせられた。ありがたいことに巻末に詳細な説明が書かれている。小説家の書く数学の本とは、かくもわかりやすいものかと!!
さすがにインド数学のことはぜんぜん知らなかったので(1桁めをゼロにしてしまう引き算の話は聞いたことがあったようななかったような)、傍らにスマホを待機させてグーグル先生の指導を仰ぎながら読み進めた(^^;

・・
・・・

ふう。一気に読んじゃったよ(笑)。数学のことが知識として身についたとは思わないけど、「それ、聞いたことあるよ」というだけでも個人としては十分な進歩。エピローグの【続く】の文字を見ながら、すぐに続きを読みたいんだ!そう思ったわけです。なので青柳先生、がんばってくださ~いっ!

その青柳先生はセルフ解説の中で、主人公浜村渚のことを天才ではない、と書かれている。天才ではないが「大好き」なのだと。

『好きなことを、何があっても好きでいること』

それが未来へのヒント。というわけで、Have a nice math!!


0 件のコメント: