2023年10月23日月曜日

ある男。

「おもしろかった?」と聞かれたらちょっと答えに詰まる。
でも「見たほうがいいかな?」と聞かれたらそれはもう「ぜひに」と即答する。

という感じの、今回今さらながらに見てみた映画は「ある男」です。

再婚して一緒に暮らしてた旦那さん、自ら名乗ってた名前の人ではないということが死後判明する。私たちが愛していたあの人はいったい誰だったの――依頼を受けた弁護士が、そのある男の素性を探していく。という、あらすじです(雑)。


変身願望。あるいは逃避願望。

みんな多かれ少なかれ持ってる願望じゃないのかなぁ。
少なくとも僕には「ある」。

アイデンティティ。そして出自。

自分はいったい何者なのか。どこから来てどこに行くのか。
漠然とした形をなさない問いと不安も、僕の中にはある。

そんなふうに日常では確認しない感情や感覚に触れることは、そこそこしんどい。

『知らなくても良かった』

物語の終盤、「妻」そして「依頼人」役の安藤サクラのセリフだ。それはこちらの思いともシンクロする。

その安藤サクラ。冒頭でちょっとした作業をしながら涙をこらえる/こらえきれないシーンが強烈だった。あの数分間は瞬きを忘れるような時間だった。

共演の妻夫木聡、窪田正の演技も身震いするような――特にこの作品の窪田正孝は何かこう、それこそ「別の人間になってしまった」かのような感じだったな。まさにこの映画の主人公のひとりとしてピッタリだった。

うん、これぞ邦画。これぞ日本の役者たち、そんな一本でした。

「おもしろかった」とはあまり言えないんだけども(^^;


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