2021年4月27日火曜日

炎の塔。

“この小説は、警鐘だ。”

もしPOPを書くなら、そんな感じかな。
超高層ビル火災を描いた五十嵐貴久「炎の塔」を読了。


はじめは小さな“アラーム”だった。
消防士の部屋で起床のアラームが鳴る。ビルのコントロールセンターでも誤動作のアラームが。

少しずつ刻まれる時間経過という名のカウントダウン。
その時計とともに高まる緊迫感と不安感。まだ何も起きてないのにドキドキするぅ。

『限りなく低い(略)はゼロとは違う。絶対ではないのだ』

巨大であるがゆえに、集まる多種多様な人々。
巨大であるがゆえに、そこに働くそれぞれのプロフェッショナル。
巨大であるがゆえに、タワー側も消防がも複雑化する体制、そして権限の集中。

まるで生き物のようにじわりじわりと巨大タワーを覆っていく炎――。

“警鐘”は、火災そのものへ向けられたもの。それだけではなく、ある意味人間の傲慢さに向けられていたように思う。
逆に謙虚さを持ち合わせる人間に対して描かれるのは、強さ、だろうか。

極限状態に置かれたときに発露する本当の姿――まさしくパニック作品の幹だと思う。

いやー、とにかく肩に力入っちゃうし、読んでて疲れちゃいますよー(←喜んでる)
あまりのサスペンスに主人公のラブロマンスのこと、忘れてましたよー(^^;

とにかく文字が頭の中で映像化されて、それが崩壊していく怖さったらとんでもないです。
この「巨大なキャンドル」は、その意味で非常に映画的だなとは思いましたが、映画よりも想像力を掻き立てられるぶん、小説に軍配!って気持ちになったね。

500ページ超をイッキ読みでした。最高級のドキドキをいただきました。次作も早く読みたいですっ!

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余談。風船が割れて人が出てくるとか、ブブゼラ(もはや死語っぽい)とか、五十嵐先生、サッカーお好きですよね?

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