高校野球って大好きだ。単純に、見てると奥のほうが熱くなってくる。
ましてや母校だったり、さらには甲子園という目標が見えてたりすると、もうその熱さは簡単に冷めてしまうような温度じゃない。
そんなある意味無責任な大人たちの期待をも背負わされて、今日も練習に励む球児たちがいる。そんな彼らを描く須賀しのぶ「夏の祈りは」を読んだ。青春スポーツ小説、ですかね。
そこを舞台にした5編の短編集、のような体裁を取っている。章ごとに主人公の部員が変わるからそう思ってたんだけど、描かれる時代背景もあって、途中で理解した。
キャプテンが苦悩した年、その10年後には2人のエースが現れ、そのさらに10年後にはマネージャーが活躍し、そして最上級生がハズレ世代と呼ばれる今(この「今」が2編になってる)――10年ごとのチームが描かれている、ひとつの連なった物語であるということに。
この10年というのがキモで、埼玉をはじめ神奈川や大阪など出場校の多い地区は夏の甲子園に2校出場できる「記念大会」というやつが10年ごとにやってくる。
チームづくりにおいても当然そこはひとつのターゲットになりうるし、もちろん周囲の無遠慮な期待の声大きくなる。
葛藤。苦悩。期待。重圧。
選手と補欠、ベンチ外。上級生と下級生。
エース、主将、監督。
さまざまな立場とさまざまな思いが折り重なったもの、それこそがチーム。
30年前のチーム、さらに過去のチーム。
20年前、10年前、そして、去年、今年のチーム。
残りページが少なくなってくる。ラストシーンが近づいてくる。すべての物語が、すべての選手たちの思いが、ひとつに収束してくる。
どうして高校野球ってやつは。
描かれるのはきっとダイヤモンドのちょっと外。ああ、これ以上は書いちゃダメ!(笑)
ラストシーンまで一気に読みたかったけど、一気には読めなかった。おぢさんは目から汗が流れそうになっちゃったんだもん。
いったん本は閉じて、深呼吸して、改めて「最終回」の「悲願」へ――。
素敵な一冊でした。
とにかくオススメしたい。高校野球好きなら読め!いいから読め!、と。
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春に夢を託したチームが、また夏に戻ってきます。今年も彼らの活躍を祈ります。無責任に、無遠慮に(^^;
2018年の夏の甲子園は第100回記念大会です。
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