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2月下旬になって、マサさんのデイサービスの体験利用が始まった。
あっちゃんは「元気に暮らしてるのにそんなとこに行かなくても」と言ってるみたいだけど、当のマサさんは楽しく出かけているようだ。
だが、実際に行ってみると、理解力・記憶力の低下が顕著で、たとえばトイレの場所が覚えられなかったり、急に帰りたいと訴えたり、簡単に言えばデイサービス側にご迷惑を掛けてしまったようだ。
もちろん「迷惑でした」ということを言われたわけではない――そういう人も多いのだろうし――が、わたしの感覚としては申し訳ないなぁという感じだったのだ。
複数のデイサービスを体験したこの結果を受けて、ながいきセンターのセイコさんからは『認知症の進行が推定され「要支援1」の状態ではないことが明らか』と連絡があった。
改めて「要介護じゃないの?」という区分変更の申請をしてもらえることになった。
また、次は「小規模多機能型居宅介護」という、通いと泊まりを組み合わせて利用できるサービス施設を体験してみる、ということになった。
顔なじみのスタッフと比較的少人数利用者という組み合わせが、サービス利用に融通が利くことと、またそれが今のマサさんには適しているのではないか、ということだった。
そして3月下旬、再度の介護認定の結果が出た。
セイコさんがマサさんちに訪問して届いていた書類を確認してくれたところ、マサさんは想定どおり「要介護1」ということになった。あっちゃんには「要支援1」。ともに1年間の認定になる。
この結果を受けて、マサさんは4月から週1回のペースで小規模多機能型居宅介護への通いサービスを利用することに決まった。
施設名は「小規模多機能ホームいぬかい」、そして担当のケアマネさんはサダカタさんという男性になる、と連絡をもらった。
もちろん、あっちゃんが要支援なので、セイコさんがケアしてくれることは変わらない。その安心を持ったまま、マサさんのことがまた一歩進んだのかな、わたしはそんなふうに感じていた。
わたし自身はメールを打ってるだけで何もしていないのに。
だけどそんなふうな安堵の時間は長く続かない。
セイコさんから一本のメールが届いた。
『「いぬかい」さんからお父様の「介護保険証」の確認ができず困っていると相談を受けました』
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