今回今さらながらに見てみた映画は「プロミシング・ヤング・ウーマン」です。
この映画ってネタバレしちゃ絶対にダメなタイプなので、とにかくふわっと書きたいと思う。けどできるかな・・・。
タイトルどおり「将来を約束」されていたはずのキャシーは、医大を中退し、コーヒーショップで働いている。その凡庸とも言える生活の裏で、夜ごと男を誘惑しさらに[ナイショ]するという別の一面も持つ。
旧知の人間との再会によって、彼女の生活は変わり始める。ひとつはパートナーの存在という明の部分。そして裏の顔のほうでもより暗い色を濃くしていく。
そこにはなぜ「約束された将来」を捨てなければならなかったのかという事実があって。
表層としては「復讐劇」という体裁で、理不尽な男社会だったり加害性だったりに対するアンチテーゼあるいは痛切な批判だとは思うんだけど、その背景、それこそ主人公のキャシーの思惑、あるいは監督・脚本の意図、わかったような絶対わからないような感触が、画面に引き寄せてきて離してくれない。
なのに画面の中の色も音楽も強烈にポップ。特に色については・・・。
夜の街に出かけるときのメイク。まるであの「ジョーカー」のようでもあり、「スーサイド・スクワッド」のようでもあり。
メイクで本心と本性を隠し、普段の生活と別人になることでできたこと。
ようやく見つけた普段の生活の中の「幸せ」によってさらに加速してしまった復讐劇。
「幸せ」の中に別の姿を発見させたときの気持ちはどうだったろう。そしてさらに悲しい事実を知ってしまった絶望は。
相手の罪をなぞるように行ってきた静かな復讐劇から、突然タガが外れたようなとんでもない、想像もしなかったラストがやってくる。
だけどそれはどこかで、そうか、とも感じてしまうものがあって。
それが逆におそろしい。
その「そうか」の中身は残念ながら言葉にならない。
ただ単純な復讐劇ではないのだろうなとしか。自らを抑えきれないサイコな衝動の物語か、あるいは直接は描かれない友情の物語か。
ところどころに挟まれる「親御さんの目線」だとそのイメージは強い。
おすすめ。
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