2020年11月6日金曜日

双子トリックへの挑戦。

『この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです』

目次の次のページに書かれた、この“読者への挑戦状”に自然に期待が高まるというものです。というかこの文言(帯にも書かれてた)に惹かれて西村京太郎「ころしの双曲線」(新装版)を購入しました。例によってあまり自分のブログに残したくない漢字はひらがなに置き換えてます。

西村作品といえば、鉄道ミステリー・十津川警部シリーズ。ずいぶん前に読みまくったことがあるんですが、読み切るよりも新刊が出るほうが早いという恐ろしい状態で(笑)、ギブアップしてしばらく遠ざかってました。
ちなみにこの作品は「初期の名作」と呼ばれているとか。
1971年が初出。今ではちょっと考えにくいワードもガンガン出てきますが、それが時代を反映してるようで。ほら、アジアとヨーロッパの境目にある国名を使った風呂、とかね。


双子の兄弟が東京で起こす連続強盗事件。
人里離れた雪山のホテルに集められた6人の男女。

2つの物語が同時進行していく。まさに双曲線。
まったく両者のかかわりは見つからない――何もないはずはなくて、「あるに違いない」と読んでいるんだけども・・・。わかりませーん(笑)。

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オマージュしているとされるアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』的に話が進んだ段階で、ちょっとした気づきがありましてね、犯人だけは“わかったような”気になりました。ただ、経緯やらトリックやらがどうしてもつながらない。

この2つの事件が見事に結びついていくさまたるや。「ああそうか」と悔しい気持ちと、どこか清々しさまで感じてしまう(^^;

「双生児のトリック」はもちろん、作中で明確にされていたヒント。
実にフェアで、完成度の高いミステリーでした。もちろん満足度も抜群に高かったっす!


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