堂場瞬一「虹のふもと」を読む。
久しぶりの堂場さんのスポーツ小説、それもお得意の野球モノだ。
40歳半ばを迎えてなお日本の独立リーグで投げているベテランピッチャーが主人公。その独立リーグがエクスパンションでハワイの球団に移籍するところから物語は始まる。
キャリアの晩年の選手が主人公ってのは堂場さんのスポーツ小説のお約束みたいになってるかな。
ただ「最後にもうひと花」みたいな感じじゃないし、現役に必死にしがみつこうとしているふうでもない。主人公の川井は、すでにキャリアのピークを過ぎていることも自覚しているし(メジャーの実績もあって通算200勝も達成している)、何かこう淡々と投げ続けている――惰性のようにさえ。
「なぜ辞めないのか」
「なぜ投げ続けているのか」
ギラギラと上だけを目指す若者たちの中で、シーズン通して繰り返し自問する川井。
そしてレギュラーシーズン最終戦、たどり着いた答えとは。
毎度思うけど、堂場さん自身がスポーツに対してロマンチストなんだよね、きっと。
いや、それが悪いとか気に入らないとか言ってるわけじゃないんだ。だからこそ、読者はスポーツを見ているのと同じように感情移入をしながら、「観客」のひとりになれるんだと思う。
印象的なキャッチボールのシーン・・・ネタバレなので書けません(^^;
貧相な環境。だけどここには野球とベースボールがある。
緑の芝。白球。雨上がりの青い空にかかる虹。
ああ、やっぱり堂場さんはロマンチスト(笑)。
・・
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次の夏は屋根のない球場で野球が見たいな、と痛切に思う・・・。
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