2023年9月7日木曜日

線は、僕を描く。

今回今さらながらに見てみた映画は「線は、僕を描く」です。

家族の不幸から一歩も前に進めなくなってた大学生が水墨画と出会い、その世界に触れ、線を描くことを通じて自らと向き合い、そうしてう前に進むことができ――といういわゆる「再生の物語」。


描かれる世界が世界だけに、ものすごく「静か」な作品だった。
ただその静けさの中に、激しさというか執着というか、ある種の狂気のようなものが、水墨画という媒体を通じて、それこそ「静かに」伝わってきた、そんな印象があった。

それは、作中に登場する水墨画そのものの魅力でもあるのだろうし――ライブペインティング(揮毫(きごう)って言うんですかね)は圧巻だったぞ――、湖山会(水墨画作家・篠山湖山とその弟子たち)のメンバーを演じた役者たちの力でもあったのかな、などと思ったりしています。
巨匠役が三浦友和、一番弟子が江口洋介、巨匠の孫に清原果耶、そして「生徒」に横浜流星。

主演の横浜流星には個人的に「動」のイメージを持ってたんだけど、「静」どころか「止」の演技がなんというか、すごく良くて。
「笑ってるけど止まってる」な感じとか、そこから次第に動こうとして、でもまだちょっと動かなくて・・・みたいな。こういうのを説明できる文才が欲しい(涙)。

こういうのを「佳作」って言うんだな、きっと。


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