荻原浩「楽園の真下」を読了。
体調17センチのカマキリが見つかったというニュースが流れ、ライターの藤間は取材のため志手島へ渡る。定期便が1週間に1往復しかない絶海の孤島では、ここ数年不審死が相次いでおり、藤間はその調査もしようと考えていたのだが――。
頭の中に映像が浮かぶという意味では実に映画的なのかもしれない。
世をはかなんでいる貧乏ライターと若き女性研究者という組み合わせもどっかで見たような取り合わせだし。
荻原作品では「誘拐ラプソディー」でも映画的だと僕は感想を書いている。スタイルというか特徴なんだろうな。
生物がでっかくなっちゃったってのは、映画とかだとおおかたB級モノで、ケラケラ笑いながら見られるんだけど、小説だと脳内でいろいろ補完しちゃってダメね。グロいわ。
昼飯食いながらの読書とかできんよ。やってるけど。
だってそこらのB級映画では描ききれないであろうディテール。心理。
おまけに脳内ならばVFX自由自在(笑)。
そんなわけでけっこう「気持ちわりぃ」なんだけど、それでも吸い寄せられてしまう魅力がある。まるで明かりに群がる虫だな(^^;
途中「擬音、すごいな」と気づく。
カタカナで『ギ』と書かれていても、その音は読者の中であらゆる音に変換される。
『ギ ギ』『ゴゴ ゴ』
なんだよその空白!!怖いよぉ!!
これぞ映画を超える小説の真骨頂だ、なんて思ったな。
・・
・・・
ラストまで読み切って、ようやく「楽園の真下」の意味がわかります。
確かに今私たちが生きているこの場所は、ヒトにとっての楽園なのかもしれない。でもその真下では・・・。ぞわぞわ。
エンディングの余韻というか引きというのか、そこも実に映画的。でも決してB級ではない、エンターテインメントなスリラーでした。
・・・グロいけどね(^^;
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