どういう経緯で「読んでみたい本リスト」に入れたかは覚えてないんだけど(もちろんどういう話かも知らなかった)、そのリストに入っていた浜口倫太郎「私をコ口さないで」を読む。例によってあまり自分のブログに残したくない漢字は別の字に置き換えてます。
元IT企業の社長で現在はその立場を追われて無職の主人公・宗近。
『彼女は、ITがなんの略称かも知らないだろう。イカかタコとでも思っているのだろうか? でもイカやタコが億万長者ならば、彼女は気にせず付き合うのだろう。』
傷心のまま戻った故郷で旧友であり地元で獣医として活躍する俊平と再会する。
そして彼らの周囲でペットに関係する「いやな」事件が次々に起こり、やがてそれは最悪の事態へと転がっていく、というような感じの話。
最近テレビでペット関係、特に保護猫とか保護犬なんかが出てくる番組をよく見てる。多頭崩壊とかね。だからこういうストーリーは余計に胸が痛い。
そういう話だと知ってたらこの本は手に取らなかったかも、とさえ。
『「六十匹! そんなに産むんですか?」』
物語が進むにつれ、いわゆる“衝撃の展開”がどんどん巻き起こってくるのだけど、それがあまり僕にとって衝撃ではなくて、エキセントリックではあるけどどこかで「うん、そうだろうね」みたいな気分になってしまった。
ま、簡単に言うと先の展開が読めてしまったわけさ。
そしてタイトルの「意味」も。
おもしろくなかったと言うつもりはないし、サイコサスペンス的な要素も悪くないと思ったけど、動物、ペットに対して胸が痛くなる設定も含めてあまり楽しめなかったような気もする。何より「動機」というやつがね・・・。
なんとも読後感の難しい一冊でした。
『遅い。まだか。心の叫びが実際の声となる速度が、宗近にはもどかしかった。』
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