2021年11月18日木曜日

店長もバカすぎて。

早見和真「店長がバカすぎて」を読了。
本と読書を愛してやまない主人公の書店員が、決して恵まれていない労働環境の中、あまりにバカすぎる周囲の人に振り回されながらドタバタじたばたするという、「書店ガール」のお話。


店長は終始一貫してバカなんですが、ほかにも書店の社長も、小説家も、出版社の営業も、お客様も、主人公の立場からするとそういう位置づけになっちゃうわけです。
まずそういう登場人物の設定がおもしろいかなと思います。ネタバレしますが、さすがに酔って他社で暴れる社長はいないと思いますけど。

いち社会人からすると、他者に対して多かれ少なかれそういう感情は抱くものだと思いますし(もちろん僕も「けっ(怒)」などと心の中で思うことは多々ありますです)、でも小説の中でもカリカリするのはどうかと思いますから、「あるよねーそーゆーことー」とケラケラ笑いながら読むのが吉ですね。

極端に自分の立場に置き換えてしまうと、なんかつらい結論に落ち着いちゃったりするかもしれないもん。つまり自分自身がバカすぎて、という結論に。

主人公もそういうことに気づきます。
読者(主人公の周囲も、か)はもっと早くそのことに気づいてますが(笑)。

そしてさらに、主人公は「気づいていなかったこと」を知らさせれることになります。
読者はもっと早くそれに気づいてますが(笑)。そういう意味ではミステリー的な謎の部分については超ライトだと思いますね。

・・
・・・

文庫版のラストには著者と発行人の対談が載ってたりするんですが、さすがにちょっと自画自賛すぎてあまり気持ちよくなかったかな。
本屋大賞ノミネート作品ということでしたが・・・んー。まあ作中「本屋さん大賞」なる賞の話も出てきますし、本屋大賞が書店員の投票という背景を考えれば、まあそうか、と。

うん。やっぱり、「いるよねーそーゆーひとー」とケラケラ笑いながら読むのが吉です。

*  *  *

作中、心に残った一文。

『自分の感想が他の人たちと相容れないことは恐れない。不安なのはバイアスをかけてしまい、曇った目で作品に触れていないかということだ。』

これは本当にそう思う。am●zonのレビューなんて見ちゃうと、何も読めなくなっちゃうもん。自分で選んだものを、自分の目で読む。そしてそれを自分の言葉で書き残す。これからも僕はそうしていきたい。


0 件のコメント: