前作「森は知っている」を読み終わった直後に書店に駆け込んで、吉田修一「ウォーターゲーム」を購入した。
AN通信シリーズ3部作完結編・・・そうか終わっちゃうのか。続けてほしいなぁとは思ったものの、諜報組織であるAN通信は「35歳定年制」(詳しくは書かないけど)で、主人公である鷹野一彦もそういう年齢になってきているわけで、変に長く続けないほうがいいのだろうなとも思う。残念だけど。
今作はタイトルどおり「水」をめぐるパワーゲームの裏側が舞台。「水」というと前作にも通ずるものがあるというのは容易に想像できる。
利権のために多くの人命すら軽んじる勢力、そしてその対抗勢力。さらにはAN通信そのものの存亡にかかわるせめぎ合い。相変わらずページをめくる手が止まらない。
どのぐらい止まらないかというと、ふだん酒を飲みながら本を読んでると「あー酔ってきたかも」と中断することができるんだけど、大酔っ払いになってることすら気づかずに読み続けてた(恥)。結果内容が頭に入っておらず、翌日50ページほどは戻るハメに(笑)。
産業スパイ、権力者、投資家・・・金の匂いに群がる者たちのせめぎ合いが圧倒的な見どころではあるものの、そんな中登場する女性陣の存在も際立つ。
壮大でエキサイティングな物語の中で「女たち」というタイトルの章が、魅力?深み?につながっているような気がしてならない。
鷹野の過去と現在を知る、家政婦の富美子さん。
スクープをつかんでしまったことで大きな渦に巻き込まれてしまう新聞記者・九条。
金を増やすことでしか自分の存在が認められない投資家・マッグロー。
そして、敵かと思えば味方、味方かと思うと裏切る、謎のオンナ・AYAKO。不二子ちゃんね(^^;
案外世界はそういうことで動いてたりするのかしらね(^^;
これら女性だけでなく、登場人物にいわゆる「ちょい役」がいないのもいいな。物語の鍵は全員が持ってるような感じなんです。
いやむしろ、主人公は鷹野というよりも全員なんじゃないか、というほどに。
終盤、意外な事実が明らかになり(ああくそっ、想像できる範囲だったのにまったく気づかなかったぜ。ぐやじい)、やがて・・・・(以下略)。
そしてエピローグ。
映画のような、いや、映画では描けないような美しさ!!気持ちいいっ!!いやーっ、堪能しましたっ!!!
ビックリマークを多めに付けときました!!
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