2015年10月29日木曜日

試合は選手のもの。

堂場瞬一「10-ten- 俺たちのキックオフ」を読了。
本作の題材はラグビー。すっかりワールドカップフィーバーに乗っかった風になっちゃったけど、実はずいぶん前に買ってあったんすよ(言い訳っぽいw)。でも、「一瞬の風になれ」を読むのに時間がかかってしまって――何しろおもしろくっておもしろくって、3冊目なんて2回読んじゃったもの――ついついこんなタイミングになっちゃいましたとさ。

ところでラグビーなら「15-fifteen-」だろ、とは当然思いますわね。そこがなぜに「10」なのかというのは・・・教えてあげなーい(^^;

舞台は大学ラグビー。リーグ戦直前、「城陽大」の絶対的な存在であった監督の急死から物語は始まる。
城陽大のイメージは、大学ラグビー華やかなりし頃の明治かなぁ。これでチームカラーがなんとなくわかりますかね>同世代以上の皆様。ジャージの色は帝京。

監督であり実の父を失ったキャプテン、急遽監督に就任することになったライバル大学出身のコーチ、フォワード陣・バックス陣・マネージャーといったチームメイト、そしてOB。それぞれの思惑。前監督の本当の思いとは――。

それぞれの思惑がそれぞれ違う方向を向けばチームは機能しない。チームが機能しなければ当然勝利には届かない。そこには眩しいほどの信頼関係が必要だ。

結局そういうことですよ!

堂場さん、相変わらずのロマンチスト(笑)。「試合は選手のもの」だ。
でも、試合の描写はさすが。ラグビー特有の選手がぶつかる音や息遣い、身体から立ち上る湯気、ロッカールームの熱、ぜーんぶ感じられる。当然読んでるこちらもその熱狂に巻き込まれる。うん、さすがでした。
余談だけど、ラグビーって選手数が多いから、これをきちんと描写するのって大変だろうな。巻頭にメンバー表やポジション説明あるのはそのためかな。

♪長いリーグ戦しめくくるキックは ゴールをそれた
♪何をゴールに決めて 何を犠牲にしたの

(松任谷由実「ノーサイド」)

以前からのラグビーファンにも、今回ラグビーが気になりだした人にも、ちょっとオススメしたい感じです。

さて、次は浜村渚の「6さつめ」を経由して、再び堂場瞬一作品に戻ってくる予定です。次は駅伝!

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