[046]
いろいろやらなきゃならないんだろうなというめんどくささ。
まだ見ぬものを想像してしまう不安。
意外に余裕があるような気もするし、実際にはどうにもならないような気もする。
そんな複雑な心持ちの2月20日、朝イチのフライトであっちゃんちに向かう。
「おはよう。朝ごはん?」
「今起きたとこなの」
例によって雑然としているダイニングテーブルに座って朝食を食べているあっちゃん、髪が驚くほどにぼさぼさだった。これまで見たことのない姿、かもしれない。
朝食はパン。マサさんと暮らしていたころにはワンプレートにサラダや卵料理が乗っていたが、今朝、その皿はない。
この時間に起きたということは、習慣のように見ていたはずの朝ドラの時間には到底間に合ってないな。生活のリズムが変わってしまったのだろうか。
ちらりと覗いたキッチンには、以前セイコさんから指摘されていたようにゴミ、特に空き缶とペットボトルが溜まっているのが確認できた。リビングの隅に積まれている古新聞もこれまで以上に高くなっている。このままではゴミ屋敷になってしまう未来が想像できる。
燃えないゴミ、資源ゴミの回収が月イチというのは本当に厳しい。ゴミの日のたびに電話で連絡してあげる必要がありそうだな。
QOLの低下、わたしはそう考えていた。
「お茶でも飲む?」
「いや今はいいよ。ゆっくりごはん食べてて」
この間にいろいろ確認だ。
まずは通信サービスのないというあっちゃんのスマートフォン。
立ち上げてみると確かに「通信サービスがありません」の表示。よくよく確認してみると、怪しげなアプリが大量にインストールされている。これが悪さをしてるんじゃないだろうか。
とにかく不要なアプリを片っ端から削除し、できるだけクリーンにした上で端末を再起動。無事普通に使える状態に戻った。
老人にもスマホを使わせたいのであれば、キッズ向け同様なにがしかの制限をかけられるといいのだけれど・・・今日はそこまでの設定はできなかった。
「携帯電話、普通に使えるようになったから」
「あら、使えなかったの?」
次は固定電話の後ろの「捨てるなファイル」に入れてあるマサさんのマイナンバーカード。本人確認書類として何かと使う可能性もあるし、逆にここに置いておく理由がないから、わたしの手元に置いておこう。自分のバッグの中にしまった。
あとは入院特約が付いているK保険の保険証書も忘れずに。帰宅してからゆっくりと入院費用の請求にトライしてみよう。
さていつもながら片付いていない、というか書類が積み重なっているリビングテーブルの上。やたらに目立つのがマサさんが長い間購読していた業界新聞。以前あっちゃんに聞いたところ「お見舞いに行くときにいつも持って行ってるのよ」とは言っていたが。
「この新聞、もうマサさん読んでないんでしょ?」
「そうね、渡しても読んでないみたい」
そりゃそうだよな、と思う。というかそもそも持って行ってないでしょ。
「じゃあ購読、やめるようにしておくね」
業界団体関係だけでなくて、ほかにも趣味だった囲碁の会の会報とか、地元の劇場の賛助会員とか、なんかいろいろある。会費請求されてるのもあるみたいだし、ここで今全部チェックするのは無理だから、とにかく関係の書類は全部持ち帰って後日退会の手続きをすることにしよう。
業界新聞を資源ゴミと普通ゴミとにより分けつつ片付けていると、「なんだこれ」と出てきた郵便物が。
請求書、そして督促状。
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