2018年5月9日水曜日

山手線謎日和。~読み鉄シリーズ4~

読み鉄シリーズはそもそも3冊の予定でしたが、「3」がイマイチだったこともあって延長戦です。

本屋で目にとまった知野みさき「山手線謎日和」。目次を見ると3話収録のようで、それぞれ五反田駅事件、高田馬場事件、上野駅事件とタイトル付けられている。これは大好物な予感(笑)。ただし以前読んだ似たようなタイトルのやつは少々ナニだったので一抹の不安も。

主人公は出版社勤務のイズミ(ファーストネーム)。探偵役は、一日中山手線に乗りながら本を読んでいる不労所得の男・和泉(姓)。2人のイズミは「本」と「巣鴨の喫茶店」をきっかけにして出会う。

全体のムードがほんわかしているのは、ちょっとしたラブコメ要素が入ってるからかしら。
そのムードありきなので事件は「日常の謎」かなと思いきや、五反田や高田馬場で起こる事件は案外社会派で意表を突かれた。書いちゃうけど、歩きスマホと構内暴力、痴漢と冤罪。

そうした事件を、少し偏屈な和泉(ありがちキャラ設定)がその鋭い観察眼で解決していく、というストーリーなんだけど。

舞台はまったく知らない場所ではないし、逆にむしろよく知ってる場所もあり、情景が浮かぶのはありがたい。特に五反田ホームの立ち食いそば屋とかね(^^;

これで確かに続編もあってたとえば全29駅が網羅されたらすごいだろうなぁ。でもね、設定として山手線、あんまり重要な位置づけとは感じなかったんだよ。
探偵が一日中乗ってるという以外に「ならでは」がまったくない。別に山手線じゃなくていいじゃん的な。
上野駅事件に至っては電車である理由すらない。

「おもしろくなかった?」と聞かれると、たぶん「わりと楽しんだ」と答えるような気がするけど、「おもしろかった?」と聞かれたら、「んーー」と答えに悩む気がする。

あんまり厚くないんで、すいすいと読みきってしまうことだけは請け負う。

*  *  *

本編とは全然関係ないが、本の冒頭に掲載されてた山手線路線図において、田端駅を田畑と誤植してるのが気に食わん>ハルキ文庫

0 件のコメント: