2020年8月15日土曜日

少しずつ、そして長い「さよなら」。

お盆だから、という理由があるわけではないようなあるような。
今回今さらながらに見てみた映画は、少しばかり死を想起する作品、「長いお別れ」です。レイモンド・チャンドラーのやつじゃないっす。



ものすごく簡単に言うと、認知症を発症した父とその家族の7年間に及ぶ物語です。英語で認知症のことを“Long Good-bye”と言うそうです(と本編のラストで語られます)。少しずつ時間をかけてさよならをしていくという意味で。
本来家族にとってはものすごく大変な生活だろうし、重く苦しい物語に見えそうですけど、映画に流れる空気はとても明るく、そして幸せなものです。

幸せ、か。

まずは父親役の山崎努ですよ。ガチではないかと思うほどの強烈な演技。
笑っちゃいけないんだけどさ、笑っちゃうほどなんだよね。と同時にリアルに頭の中で像を結ぶ映像(遠回し)もあったりして、笑いながら「笑っちゃいけないや」と言いつつ目尻からは涙がずっと流れてた。

介護の問題ってひと言では片づけられない問題だし、同じ状況ってふたつとないだろうし、簡単に答えが出ることでもないと思う。
それでも、そこに「家族」がいること――それこそがこの映画で描いたものだろうし、大切なことだろうな、と改めて思ったのでありました。

自分のことを考えると反省しちゃうよね。なんかいろいろごめんなさい。

ネタバレします。
ふんわりしたキャラクターのおかあさん(松原智恵子)とのシーン。2度目のプロポーズ。そして突如として凛として背すじを伸ばす病室のシーン。
あるいは長女役の竹内結子のキスシーン。
あるいは次女役の蒼井優が元同僚をテレビの中で見つけるシーン。
血縁だけではない「家族」という形を思う。

・・・中野監督には「湯を沸かすほどの熱い愛」に引き続き、泣かされましたわ(T^T)


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