海沿いの崖の下に「おもいで質屋」がある。子供はみんな知っている。店主は魔法使い。その名のとおり子供たちの「想い出」を質入れできる。20歳になるまでに金を返さないとその想い出は流れてしまう。そして20歳になると存在そのものを忘れてしまう――。
キョンキョンのオススメ第21弾、吉野万理子「想い出あずかります」を読了。
一方で楽しかった想い出は、「そういえば」と想い出す。そういう差はあるかもしれない。
そんな苦々しい想い出を質入れできるとしたら?
何か嫌なことがあって、それを忘れることができるなら。しかもお金に換えられるとしたら。
『みんな取りにこないのよ』
魔法使いはそう言う。きっとそうだろうな、と思う。
些細なことでもどんどん換金しようとする子。
明日生きていくために今日のつらいことを忘れたい子。
想い出を質に入れるということ自体に懐疑的な子。
人間の想い出を、面白いかつまらないかでしか判断できない魔法使い。
登場人物はさまざま形でおもいで質屋に関わり合う。
魔法使いの出てくる話なんだからファンタジーであることは間違いないのだろけど――いや、もしかしたら僕もその存在を忘れているだけなのかも――それだけではない、なんというか、心の奥底のほうをざわざわと探られているような気がしてくる。
そうだ。想い出って本来、魔法使いのファイルじゃなくて、その人の心の奥底にあるものだ。
あなたはどう思いますか。
そう問われています。生き方を、人生を、自分自身を。
おそらく・・・・ダメだ、うまく言葉にまとまんないや。
こりゃ夏休みの読書感想文の題材にすると苦労するな。
あ、でも20歳以下青少年のみなさんなら、ちゃんと書けちゃったりするのかもしれない。
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