2020年6月12日金曜日

デフ・ヴォイス。

2019年に引き続き、「高校生ビブリオバトル」でおススメされてた本を手に取る。
丸山正樹「デフ・ヴォイス ~法廷の手話通訳士~


手話通訳士となった男に仕事を依頼してきたNPO団体と通訳の対象者。そして浮かび上がる現在と過去の2つの事件。はたして真相はどこに――というミステリーが主軸にはなっている。

帯に書かれている著者の言葉によればタイトルには3つの意味が込められているとか。
「ろう者の声」「手話」そして「社会的少数者の声」。

なるほど。

何度かここにも書いたかな。以前仕事で聴覚障碍のある方々(作中で、当事者たちは「ろう者」という言い方を使う、という記述があるので以降は「ろう者」を使わせてもらいます)とご一緒させていただく機会があって、“見た目でわからない”というのがまず最初のバリアになってしまうことをとても強く実感した記憶がある。
また、手話通訳のみなさんって、距離が離れてても「ひそひそ話」ができるってのはうらやましいというかずるいというか(笑)なんて思ったな(^^;

そのろう者が事件の渦中にいるというのが本当の物語の根幹だろう。

デフファミリー、デフコミュニティの実情。複数の手話のスタイル・考え方・対立。マイノリティ。差別。偏見。聴こえるろう者“コーダ”という存在・・・。

知識としてすら知ることのなかったさまざまなことがら――フィクションだから多少は割り引かないとならないか――のほうが、ミステリーとしての物語よりも強く強く印象に残る。

同じようにろう者を扱った「映画 聲の形」とは印象がまったく違った。主題が違うのだから当然か。


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