レースの始まる何時間も前から、ただ見るだけの僕の中に無駄に緊張感があった。絶対に勝てると信じてるのに。
テレビ中継が始まる。1つのレースはわずか40秒弱。試合の進行が恐ろしく早くて息が詰まるような時間が流れていく。
製氷のブレイクもなくすぐに終盤へ。トップ6の最初のレース、インレーンに小平が入る。
「あ、サングラス」
きっと日本中が思ったはずだ。何かのゲン担ぎだろうか。思う間もなく号砲。
解説者が『獲物を狙う目』と表現する。が、滑りそのものはなんというか、実に“静か”。穏やかというか、なめらかというか。
うまい表現が見つからないけど(きっとそのうち、その極意を小平自身が言葉にしてくれるに違いない)、それでもどんどん、どんどん、どんどん進んでいく。
すっすっすっ。
画面の右下のタイム表示を見ながらも、僕は見惚れてた。「ああ、きれいだな」と。
小平の滑走中の写真、どの場面を切り取っても実にバランスがよくてキレイという印象をもともと持ってたんですよ。
速いものは美しい。そして美しいものは速かった。
ゴールタイムは低地に限れば世界記録。小平自身も目標と言っていた36秒台。
「このタイムなら大丈夫」
数分前の緊張が嘘のように安堵し、そしてテレビに向かって手を叩いた。「ブラボー!」この圧勝にはそんな言い方が似合う。
小平奈緒、念願の念願の金メダル獲得!おめでとう!!
そんなわけで細かい話はコレ読んで → 『怒れる猫は氷とケンカせず舐める猫!スケートの根源的なチカラを手に、小平奈緒さん女子500mで圧倒的金メダル獲得。』と今日も人の手を借りる僕の美しくないスタイル。
ちなみにサングラスの件。朝のワイドショーに登場して本人が言及。
なんと!オークリーのサングラス、「本当は変えなきゃいけなかったんですけど、集中しすぎてアップ用のまま出ちゃいました」ですと。#小平奈緒 #スピードスケート
— 144factory (@144factory) 2018年2月18日
よく大会序盤でいい成績が出ると「いい流れでいけそうですね」とか「この勢いをつなげていきたいですね」という表現が使われる。波及効果とでもいうのだろうか。そういうのってきっとあるんだと思う。ちょっとオカルトだけど僕はあると思いますよ。
3000mの4位から始まって、1500mの2位、1000mの2位3位。そして今回の500mの1位。このいい流れがパシュートまで連鎖していきますように。そんなことも思う。
そしてもうひとつ思うのは、次の世代への波及効果。
長野での清水宏保に憧れた小平が、また次の世代の目標になればいいな。
20年後のどこかのオリンピックで「平昌の小平選手に憧れて」なんてコメントが出てきたらうれしいな、そんなことを思うのです。
ちなみにちなみに。
長野のころは「インスタート有利」でしたよね。だから2本レースになった。
それがいまや有利不利なし、あるいはむしろ「アウトスタート有利」ですよ。
加速が格段に良くなったことでトップスピードに乗るのが速く、第1カーブが大きいアウトスタートのほうが加速面で有利。さらにバックストレートで先行するインスタートを「追える」というのが大きなポイント。
20年とはかくも長い時間なのです。だからこそ伝播し連鎖することを期待したいのです。
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