2016年8月17日水曜日

名探偵に薔薇を。

コンピュータって偉い。この僕が「薔薇」を漢字で書けるんだもん(^^;

行きつけの本屋さんに推してる店員さんがいるんだろう。ずーっと平積みだった城平京「名探偵に薔薇を」をやっとこ手に取った。

マスコミに送られたおどろおどろしい怪文書、見立て殺人、背後に潜む毒薬の存在とその製造工程・・・はっきり言って嫌悪感満点、とにかくグロい。うえー気持ちわりー。だからと言って読みたくなくなるわけではないのが不思議。
その禍々しい表現に隠された小さなヒントを、物語の終盤に登場する「名探偵」が見事に拾い集め、再構築し、事件を解決する――。

なるほどすっきりしたー。実に鮮やかに謎が解かれた・・・・おや?まだページが半分残ってるじゃないか。

その後半、第二部こそが本筋なのか。
一本の線でつながった別の事件を描く後半は名探偵本人が一人称で語る。物語が進みつつその苦悩も描かれる。
名探偵の名探偵っぷりには微塵も揺るぎはない。だが、その心の中が描写されることで、事件も人物も、受ける印象はまったく違うものになる。

そして衝撃のラスト数ページ。

名探偵はなぜ名探偵になったのか。
名探偵はなぜ名探偵であり続けたのか。
名探偵はなぜ名探偵であり続けなければならなかったのか。
名探偵は、何を求め、何を得たのか。

人の心はなんとも悩ましい。

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