この日が来ることはわかっていた。
わかってはいたけれど、気づかないふりをしていた。忘れようとしていたのかもしれない。
そして、いざその日がやってくると、忘れようとしてたのは防衛本能に似たものだったのだと理解する。
それほどまでのその重さに愕然とする。
一度は納得してたことだ。「これはもうしかたのない、逃げようのない運命なのだ」と。
だが、再びさまざまな思いが吹き出してくる。その中でも「なぜ自分なのか」という疑問は強く強く心の中を支配する。
余裕がない。人も金も、時間さえも。
持たざる者は思う。持つ者がいるじゃないかと。
だが、そこには悪意が存在していない。だからこそ余計にたちが悪い。感情を吐露する方向すら見失う。ゆえに、「運命」という結論に戻ってきてしまう。
思考は堂々巡りを繰り返す。
持ってしまえば持てない重さじゃないと頭ではわかっているはずなのに、その存在はジワリと澱のように溜まっていく。
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