2015年4月10日金曜日

自由への疾走 ~通勤電車で 2~

電車に乗り込んでふと見ると、席に座っている男性が、隣の女性にもたれかかるようにして、いや、体を預けるように眠っている。頭は90度以上は傾いてる。

カップルならばありそうな。でもおそらくは赤の他人。
まあ普通はいやがるんだろうけど、女性は椅子に浅く座り、背負ったリュックを枕代わりに提供している。なんと優しい。

熟睡している男性の手から、青いスマートフォンがぽとりと落ちた。それを見て思う。

「あー、なんか自由だなー」

それは決して嘲笑ではなく、憧憬に近い感情だ。
スマホを手放すという行為がなんだかその象徴のようで。

・・・ところでそのスマホ、誰も拾ってあげないのね(笑)。

まだまだ泥酔した人が乗り合わせる時間帯でもない。終電までまだ3時間ぐらいあるけど、あの人、どこまで行っちゃうんだろ。

時間からも場所からも、世間からも、自由。

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