2015年4月7日火曜日

共感の瞬間 ~通勤電車で 1~

電車を降りてホームを歩いていると、背後で「ごん」とも「ばん」ともつかない鈍い音が響く。振り返れば、降車が間に合わずにドアにはさまれた人の姿。
ぷしゅーと再び開けられた扉から少し慌てて降りてくる。

「おっさん、ダセェ」、と思う。

が、瞬時にまったく同じことを僕自身がやらかしてたことを思い出し、僕の耳たぶは赤くなっていく。

よくよく見れば、そのおっさんは僕と似たような年回り、ヘタすれば年下かもしれない。

なんだかそのおっさん(あるいは、おにいさん)が急激にいとおしくなり、改札口を出たところでそのおっさん(あるいは、にいちゃん)に声をかけたくなった。実際には絶対やらないけど。

「飲みにでも行きませんか」、と。

ほんの少し、社会システムからずれてしまった自分たちについて語りませんか。いや、そこに言葉はいらないか。

「熱燗、お好きですか」、と。今日は冷えます。

0 件のコメント: