2019年6月19日水曜日

赤いトマトと緑のトマト。

タイトルを武田鉄矢の声で脳内再生していただくとカップ麺感が出ます(←なんの話だ)。

久しぶりのジャケ買いならぬタイトル買いしたくろきすがや「感染領域」を読了。
新人発掘コンテストである「このミス大賞」の優秀賞受賞作。プロット担当と執筆担当の2人の合作だそうで。

ざっくりどういう話かというと、九州・熊本を中心に謎の感染が疑われるトマトが現れ、その被害が急速に拡大していく。農水省のキャリアと大学の研究者が調査に向かうが、原因はつかめない。一方、農業関係大企業のつくばの研究所では研究員が死亡するという事件が起こり・・・という感じで始まる、そうだな、バイオサスペンスミステリーとでも言いましょうか(笑)。

読み始めて、「美人キャリア官僚と学会のつまはじき者(しかも元恋人)」というコンビはステレオタイプ的ではあるなぁとは思ったものの、それが気にならないというか、気にしてる暇がなかったというか、そこからの展開が早くてびっくり。
びっくりしつつ、ぐいぐいページをめくらされてしまった。

茎や葉まで赤く染まるトマトと、緑のまま熟さないトマト

ヒューマンエラーか偶然の産物か、それとも誰かの悪意か。その悪意を持つのは誰か。
登場人物が見事にみんな悪い人に見える(笑)。

そして感染拡大がもたらす、恐怖のアウトブレイクへのカウントダウン。

こういう話なんで、植物学とかバイオテクノロジーとか、とにかく科学・化学バリバリで、小難しい用語がバンバン出てくるわけです。
ところがそれでわかりにくくなってしまうことがないというのは特筆すべき点かと思います。生徒役の配置とでもいうのか、登場人物はプロ同士なのにちょっと専門を変えることで、結果うまいこと読者に説明をしてくれる、というのがお見事というほかない。おかげでこちらは「わかったような気になって」読み進めることができた。

そして緊迫の終盤へ。
序盤にちらりと書かれてたことが終盤に意味を持ってくる!!

おおおっ。あれも伏線だったのかー!

という感じで一気に大変楽しく読ませていただきました。
「このミステリーがすごい」かどうかはよくわかりませんが、「この一冊は楽しい」ことは間違いないところです。

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余談ですが、冒頭の熊本での調査シーン(熊本はトマト生産量日本一だそうです)で、熊本地震の爪痕が描かれてて、ちょっとせつなくなった。

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そういえば、最近たまに、坊主2号にもらった中学理科(科学)の教科書読んでる。「勉強」じゃないと、これほどにもおもしろいのかと驚きながら。
歴史もそうだけど、おっさんの習ったこととすでに常識が変わってるとこがあるのよね~。

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