本屋のPOPでずいぶん前からオススメされててずっと気になってた東山彰良「ジョニー・ザ・ラビット」をやっと手に取った。
ある仕事をきっかけに、マフィアの悪だくみに巻き込まれていく探偵ジョニーのお話。ただし、ジョニーは「兎」。比喩的な意味でなく、本物のうさぎさん。でも「カワイイ」ではなくて「ハードボイルド」。
が、世界観がちと難しい。
単に兎の世界だけの物語じゃなくて、人間社会との絡みもある。
もちろん人間と兎はコミュニケーションが取れないし、人間の時間と兎の時間の流れは違う。
あと兎の本能。ひどく臆病で音に敏感で、すぐに子作りしちゃったり(笑)、前足をトントンしたり(この仕草を想像するとカワイイ)。
テーマというか背景もちょっと難しい。環境問題、生と死、親子、家族、病んでいく精神、そして愛。
相当頭使わされつつ読んだ感じだ。その上で楽しめたかと問われると、んー、どうでしょう。おそらく、なのだけれど、こういうタイプの本をあまり読まない僕の側のスキルが足りないんだろうな、と。
そこで、物語の終盤、クライマックスの手前でいったん本を閉じ、そして頭のページから再び読み直し始めた。
おお、2回目だとすごく入ってくる!理解できれば疾走感も出てきた!
・・
・・・
兎が知らないこと、それは愛。
だけどジョニーはそれを知っている。いつだってそうだ。ハードボイルドのガソリンは愛なんだ。
ハードボイルドに憧れる。
言ってしまえば、ハードボイルドとは「ええかっこしい」、つまり虚勢なのだと思う。無理やりに背筋を伸ばすからこそ見えるもがある。そして無理をしているからこそどこかで必ず矛盾を起こす。男は男として生きたいけれど、ちょっと失敗しちゃうんだよ。それをわかって(^^;
ちょっとしたところで「かっこつけきれない」姿があるから、ハードボイルドな男は人間味(兎味?)がある。そこが一番かっこいい。そこに一番憧れる。
・・・いろんなことを思った一冊。
(追記)直木賞受賞おめでとうございます。
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