2017年9月20日水曜日

シャーロック・ホームズ対伊藤博文。

タイトルだけで即買いしちゃった松岡圭祐「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」を読了。
「対」といっても対決するわけじゃなくて、えっと何と言うか、戦隊モノのビデオ作品の「マジレンジャーvsデカレンジャー」の「vs」みたいな意味合いです、って余計に意味不明ですね。「たい」じゃなくて「つい」のほう、という説明でどうだろう。

ホームズはもちろん空想上の人物で、伊藤博文は歴史上の人物。あたりまえだけど、出会うわけがない。ないのだけれど。
もしもイギリス留学時代の伊藤博文が若きシャーロック少年とロンドンの裏通りで出会っていたら。もしもホームズの「空白の3年間」、日本に滞在していたとしたら。

設定だけでわくどきしますでしょ?

物語はホームズとモリアーティ教授が対峙した例の滝のシーンから始まる。
生きながらえたものの公には死人となったホームズは「兄」(←ここ重要)の手引きでアジアに向けて密航、そして過去に経緯のあった伊藤博文のもとに身を寄せることに。
明治という激動の時代の中、ホームズはその抜群の推理力と行動力をもって伊藤とともに日本という国自体の存在を脅かす相手と戦うのであった!!どーん!

描かれる表面的な事象は、史実だ。「大津事件」とかな。
だが、その裏側には暗躍する探偵の存在があったとしたら。日本の未来のかかった機密事項だけに、その存在が伏せられれても不思議じゃない。

そう、不思議なんだ。現実と虚構の境目。そのあたりがぼんやりしてきて何が事実でどこが物語なのかがわかんなくなってくる。僕、もともと近代史が超苦手で知識量が足りてないのもあるんだけど(恥)。

一方で、架空と実在の人物の結ぶ像が圧倒的に架空のほうが明確だという不思議さ。
シャーロック・ホームズという人物像は、シャーロキアンじゃない僕でも知ってる傍若無人で頑固で空気が読めなくて好き勝手なダメ人間(失礼)。でも伊藤博文っていう人がかなりのゲス野郎(失礼)だったということはあまり知らなかった。一方で強烈な侍魂を携えた男でもある、と一応フォロー。
そのダメ人間(失礼)を、ワトソン博士とはまた違う形で支えるゲス野郎(失礼)。

そうした歴史小説に一枚の紗がかかったような雰囲気の中で進んでいく激しいサスペンス。
並行して語られるホームズ兄弟の物語、そして伊藤家の物語。

んー、おもしろかったー!!それ以外に言いようがないっ!!

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