2017年9月19日火曜日

おまえはいったい「何者」なのか。

今回今さらながらに見てみた映画は「何者」です。
朝井リョウの原作は未読です。ベストセラーでしたけどね。

就活という場に否応なしに放り込まれた5人とその先輩という6人の群像劇。自己アピールという名のもとに、自分と向き合うことになる。それは、誰かのことを「評価」することでもあって。

「私はいったい何者?」
「てめーこそ、いったい何者だよ」
そんなセリフは微塵もないが。

もうン十年も昔の話だけど、僕は就職活動ってやつはきちんとやらなかった。その手前で決めちゃってたから。だから、その活動自体に対しては実感ではなく「見聞きしたこと」でしかない。

なのに。なんだよこの“心地悪い共感”は――?

表面上は「仲間」。助け合い、励まし合う。だが、それぞれが抱える「内側」の部分。相手に対しての苛立ち、嘲り。
そうした黒い部分が静かに漏れ出してくる。言葉や態度だけでなく、現代に必須といわれる、とある「ツール」を通じて。

あたし頑張ってるでしょ、俺って鋭いでしょ、私のほうがつらいのよ、俺は違うんだ、そういった自己肯定と自己陶酔、そしてそれに対しての承認欲求。
あいつはおかしいでしょ、甘いよね、そういって他者を評価する(否定する)ことで自らの存在証明をすること。

もはや就活、関係ない。人間の心の奥底の、もちろん僕も持っている腹黒い部分を、わかりやすいステージの上でえぐり出す、そういう話なんだと思う。

そしてそれを表現する、若手の役者さんたちの演技もすごくて。二階堂ふみのエキセントリックな部分とか、佐藤健の「目」とかヤバいです。

6人全員の心の中と、部分部分で僕の心の中が、嫌な形でシンクロしてしまう。
お前は「あいつ」なのか、と。

・・・僕、泣いちゃうよ。

0 件のコメント: