キョンキョンのオススメ第18弾、穂高明「これからの誕生日」を読了。
不慮の事故。生き残った者とその家族。
果てのない悲しみと、無邪気という衣をまとった無遠慮な悪意。
遺された者。
善意というオブラートに包まれた静かな暴力。
見守る者。
表面に表われることのない、しかしはっきりと湧き上がる黒い想い。
慮るとは何なのか。言葉とは何なのか。どうすれば伝わる。どう受け止めればいい。
『みんな、みんな、悲しみと闘ってる。』
『私は他人の代わりに生きているのかもしれない』
小説の中のこととはいえ、読者にとっても『問われている』(解説より)。あなたはどうなんだと、と。
それでいて読後には「いい小説を読んだ」と確信めいたものがあった。つらくて、苦しくて、そしてどこかですがすがしくて。
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この本が刊行されたのはあの3.11のすぐ後だったんだそうだ。解説に記されたそのことを知り、身体が震えるような想いだった。東北出身の作者が思っていたことは、きっと深い。
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