あたかも台風や地震のように「怪獣」が自然災害のひとつとして存在している世界。自然災害であるからして、怪獣対策の管轄は気象庁(笑)、その気象庁特異生物対策部(気特対)の活躍を描く――そんなSFだ。
「きとくたい」は当然「かとくたい」の語感を借りてるんだろう。
「地震の規模を示すマグニチュードは・・」というニュースは現実世界でも聞く(長野北部の地震で被害に遭われた皆様に心からのお見舞いを)。この本の中では「怪獣の規模を示すモンスターマグニチュードは・・」。つまりMMだ。映画「パシフィック・リム」でもそういう「サイズ感」を示す数値は出てくるが、発想は一枚上手かもな。
日本列島に向かってくるときは「予報円」なんかも示されて「今夜半には関東地方に上陸する恐れが・・」だと(^^;
そういうプロットやディテールは面白い。
「空想科学読本」なんかでギャグ扱いになった大型怪獣の存在の物理学的可能性についても、存在しうるように煙に巻いているのも悪くない(そこはかなりファンタジーだ)。
怪獣被害の設定は、現実世界で実際に起こった自然災害が下敷きになっているのかな(「神戸」というキーワードがたびたび登場する)。そして初出は2005年。この時点では当然マグニチュード“9”は「未曾有の最大規模」を示していることになる。9なんて誰も想像してなかったんだもん。なんかそのことに気がついただけで切なくなっちゃいます。
さらには「放射線がぁ」なんて怪獣も登場して。ただの楽しい怪獣SFなのにね、そのあたりがちょっと。
自衛隊の装備とか機材とか、あるいは神話とか、そんなのが好きな人はたまらないだろうなー。残念ながら僕にはそのあたりの趣味はまったくないんだけさ。
読み進めながら思う。「面白いんだけどなー。もちっとワクワクしたいなー。」
なんだろ。確かにファンタジーっぽいのは
が、そのファンタジーを飲み込みつつのクライマックスは、淡白ながらもページをめくる手が止められない感じ。
そう、あの大好きな平成ガメラの世界観に通ずるものがあるんだろうな。急に好みの方向に振れたりなんかして(笑)。
読後、本をリビングに放り投げてたら、坊主1号も2号も取り合うように読みふけってた。なるほど、魅力はあるんだろう。
とかなんだかんだ言いつつ、2冊目には宇宙怪獣も出てくるみたいだし、次も行ってみましょうかね(^^;
おまけ。僕の頭ん中で造形した「ヒメ」のデザインはイマイチ(^^;
あと最大の問題点は・・・他社に比較して高いんだよな、創元SF文庫。文庫のくせに4ケタとかカンベンしてよ(涙)。
0 件のコメント:
コメントを投稿