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マサさんが入院した翌日、再びグッドライフから連絡が入る。入院手続きの確認のためだったのだが、途中であっちゃんのスマホの話になった。
『スタッフが確認したのですが、どうもSIMが入っていないみたいで』
そんなわけはない。あっちゃんが取り出すことも考えにくい。
「そうですか。確認してみたいと思いますので着払いで結構ですので当方にお送りいただけますでしょうか」
その話の流れで、施設内の内線経由であっちゃんと話すことができた。
「聞いたよ。マサさん、入院しちゃったんだってね」
『昨日は元気そうだったのにね』
いや、昨日はもう入院してるからな。
「インフルエンザらしいね」
『そう、よしおか先生のところに』
「よしおか先生じゃなくて、よしだ先生ね。名前ちょっと似てるけど別の病院だよ」
『あらそうなの』
少なくともマサさんの入院にショックを受けているようなことはなさそうなのは良かった。気にしてないっていう感じかもしれない。あっちゃんが穏やかでいるのはいいことだ。
ちなみに、わたしの自宅に送ってもらったスマホ、確かに「通信がない」という表示は出ていたのだが、SIMを抜き差し(もちろんSIMはちゃんと入ってた)して再起動するだけで無事通信が回復した。
念のため確認したが、スマホの挙動を阻害する怪しげなアプリのダウンロードなどの形跡はなかった。ついついタッチしてしまうキャリアメールのアプリを隠しておいてよかった。
一方マサさんのほう、病院から電話で状況を聞くことができた。入院から1週間、大過なく過ごすことができているという。
『今のところ落ち着いていらっしゃいます。まだ食事は取れてなくて点滴なのですが、数日以内で食事もできるようになるのはないかと思っています』
酸素濃度、肺炎、重症化リスク、高齢者。
そんな単語が頭の中をぐるぐると回っていたが、まずはひと安心、ということと理解した。
結局マサさんが食事を取れるようになったのは入院からおよそ2週間、1月29日になってから。
熱が出るようなこともないが、夏に通院した足の血液循環が悪くなるという症状が再発してしまったという。
こちらが良くなればこちらが悪くなる。年齢を考えればそれもしかたないこと。
そうして徐々に徐々に、ということなのだろう。
わたしも覚悟という名の心の準備をしなければならない。
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