2025年8月11日月曜日

翳りゆくひと。[106]


[106]

「基本的に内容は一般的なものと思いますので、大筋では問題ないかと存じますが、細かい点でいくつか」

マサさんの土地の売買契約書案に目を通した後、司法書士に対してメールを返送した。
対応できない条項を削除してもらいたい旨等々、それなりに項目数の細かい点について指摘をし、修正を依頼した。
支払い方法に手形ってのは今どき考えにくいし、手形だとまた本人ではないのでいろいろと手間になることことが容易に想像できる。契約書記載は銀行振込に限定にしてほしい旨も。

こうしたやりとりは証拠にもなるメールがいい。

翌日には『契約書の内容を変更しましたのでご確認願います』との返信がある。
こちらの希望はすべて修正してもらった。が、ひとつの質問に回答がなかったので再確認のメールを出した。
契約なのだ。まあいいか、という判断はできない。適当に対応してはならない相手という意識を持ってもらうという意味も含めて。

こうして契約書の内容が固まったところで、次は司法書士によるマサさんとの面談である。

日程調整の話も含めてグッドライフのミズマキさんに電話をかけた。

「またお手をわずらわせてしまいますが、今後の生活費にもなりますので、よろしくご対応をお願いします」
『承知しました。今回も署名してもらうことはありますでしょうか』
「はい、契約書に自署を、という話は聞いています」
『前回もギリギリでしたので、署名は難しいかもしれません』

そうか。そういう問題もあるのか。
でも自署でないと本当にだめなんだろうか。いずれにしてもミズマキさんにお任せするしかない。

さてその面談日の12月25日。
司法書士からは本人の意思確認が終わったとの連絡が入る。署名もできたとのことでひと安心である。

一方でわたしは、マンションから持ち出した書類を整理して、マサさん名義の土地の情報を整理した。
過去に支払った固定資産税の通知書や手書きのメモ、地図のコピーなど、雑多な書類をかき集め、おそらくマサさんが所有しているのは4ヶ所なのだろう、というところは確認ができた。

想像の域を出ないのだが、相続時、マサさんを含めた3人の子供たちがある程度平等になるように、もともと細かく分散していたものをさらに分けたのではないだろうか。

その4ヶ所のうちの1ヶ所が今回売却するところで、さらにはその土地に対して森林火災などに対応する、現在も有効な森林保険なるものに入っていることもわかった。任意保険だから、単純に保険期間が切れて終了ということにしよう。

残り3ヶ所については、今現在固定資産税もかかっていないし、「ある」という認識をしておけば十分だ。
うち1ヶ所に電柱が立っていて、その費用が電力会社から支払われていることも確認できたので書面で住所変更を送付した。

この小さな土地、いつかは相続することになるのだろうか。まったく欲しくもないのだが。

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