2025年8月8日金曜日

翳りゆくひと。[105]


[105]

9月に申請していた「介護保険高額介護サービス費等」が、およそ2ヶ月を経て支給が決定したとの通知が届く。
マサさんは昨年老健に入所してから、あっちゃんはグッドライフに入居して以降の分の介護サービスが対象で、戻ってくる月々の金額は微々たるものだが、年間にすると意味があると思い申請をしていたものだ。
決定通知の支給額を見てみると、ふたりの1ヶ月分以上の生活費に相当する。介護制度ありがとう、という気持ちと同時に、書類をきちんと提出した2ヶ月前のわたし自身に「いい仕事をした」と伝えたい。

そして12月。

春先から話が出ていた、マサさんの実家近くの小さな土地を買いたいという件、ようやくその仲介業者から電話でコンタクトがあった。
秋口に間に入っているという地元議員からの2度目の連絡があったのだが、そのときは『司法書士から連絡があるから』ということだったので、話が違うとは思ったのだが、その仲介業者といろいろ直接話をしていると、議員先生がまったく情報共有をしていないということだけがわかった。電話口の印象から、少なくとも投票したいような人物ではないなという印象ではあったのだが。

「はい、その売却の話は聞いています。話の出た春の段階で所有者である父からは口頭では承諾はもらっています」
『そうでしたか。でしたら話は進めさせていただきたいと思います』
「どこまで情報が伝わっているかあれですが、土地の権利書などが紛失していて手元にはありません」
『そうですか。では司法書士にその旨も伝えたいと思います』

権利書がないという話はかの議員先生には何度もしていたのだが。

『それで金額なんですが、近隣の他の方とも合わせて○○円でお願いできればと思ってます』

おそらくは最初に交渉した近くの地主の方がいるのだろう。わたしとしては金額に異存はなく、むしろ数ヶ月分の生活費に相当する現金が手に入るのであればこの上ない話だ。

「それでお願いします。では司法書士の方からの連絡は、できればメールでやり取りさせていただければと思いますのでよろしくお伝えください」

以降、司法書士とは数度のメールを交わした。

『売買契約書の締結、売買代金の支払い、それに伴う所有権移転登記手続きを行う必要がございます。また、権利証が紛失されているということですので、顔写真付きの身分証をご提示いただき、権利証に代わる書類を当職で作成いたします』

権利書の件は司法書士に任せるしかないだろう。
司法書士の仲立ちで、仲介業者に売却、仲介業者は周辺の土地をまとめた上で、最終的に工場建設を予定している企業に売却することになると。特に難しい話でもなんでもないので、どうしてここまでのその説明がなかったんだろう。

『まずは売買契約書の内容をご確認いただきたく』

わたしは送られてきた契約書のデータに目を通す。
仕事でもこの手の書類を見ることは多々あるのだが、このPDFデータはプリントアウトをスキャンしたもののようだ。ワープロのソフトから直接吐き出したPDFでないというのは昨今なかなか見ない。これはもしかするとオリジナルが古いものではないか。それは現実に即していない可能性もある。十分に注意して読む必要がありそうだ。

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