2025年1月31日金曜日

翳りゆくひと。[077]


[077]

郵便局の次は銀行だ。
あっちゃん名義のY銀行の口座のカードをATMに入れて残高確認をしてみる。聞いていた暗証番号が正しいかどうかの確認なのだが、悪い予感が的中した。
へたに何度かトライしてカードがロックされてしまっても困る。いったん保留にして後でもう一度聞いてみよう。

続いて前日通帳が使えないと表示されたN銀行。月曜日の午前中ということもあるのだろうか、窓口でそれなりに待たされてしまった。今日のうちに対応しておきないと後々面倒なことになりかねない。整理番号の紙を握っておとなしく待った。
結局、長く使用してなかった通帳の磁気の問題だろうということが判明し、新しい通帳に更新してもらった。
そしてこちらでも暗証番号は間違っていた。

マンションに戻ってあっちゃんに確認した。

「ねえ、教えてもらった暗証番号、違ってたみたいなんだけど」
「あら、△△△△じゃなかった?」

聞いてたのと全然違うじゃないか。

「あ、そうか。そうかもしれないね」

適当に話を合わせて、改めてATMに向かい、そして残高照会をかけてみた。
今回聞いたのが正だった。
なんだか無駄な動きを繰り返しているようだが、もはやこの程度で驚いたりはしない。前に進めたことを喜ぶのみ。

あっちゃんとみぃさんは貴金属、バッグなどを中心に最後の荷物の選定をしている。

「このバッグ使う?」
「そうですねぇ、一応もらっておこうかな」
「この靴は?」
「それはサイズが合わないですね」

みぃさんは相槌を打ちながらもらったバッグを自宅行きのダンボールに放り込んでいく。あっちゃとみぃさんでは趣味が異なるので、おそらくはそれを使うことはないだろう。が、みぃさんもまた、先に進むことを優先しているのだ。

そのやりとりを見ながら、わたしは電話機とインターネット回線の接続を外した。
返却の必要のある光回線の機器は自宅行きのダンボールに入れた。
これでもうこのマンションの固定電話が鳴ることはない。

夕方、みぃさんに促され、あっちゃんはマンションで仲良くしていたという数件の家に挨拶に出かけた。といってもひとりで行かせられるわけもないので、「長男の妻」が同行して。
たぶんマンションの方々もあっちゃんのひとり暮らしには心配をされていたのではないか。快く送り出してほしいと願う。

その間、わたしはマサさんの部屋にこもった。大事なものを見落としていないか、再々確認のつもりだったが、結局ゴルフの会員権など、期待したものは見つかることはなかった。

「ここまでかな」

夕食はスーパーの弁当にした。

食事前に洗面所で手を洗って、ふと振り返ると、洗濯物に隠れるように置かれた大量のティッシュペーパーとトイレットペーパーに気がついた。備蓄にしては明らかに多すぎる。もちろん5箱パックとかが開封されていない状態のままだ。
気になって、もう一度家じゅうを確認したら、今まであまり入室していなかったあっちゃんの部屋のドアの裏側――扉を開くと死角になる場所――にも同じように積んであった。

もはや何かを言う気にもならない。
いずれにしても消耗品はもらってくよ。わたしの自宅行きダンボールがまた増えた。

「明日朝10時半に出発だから、少し早く来るね。今日はゆっくり休んで」

あと1日だ。ようやくここまで来た。

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2025年1月30日木曜日

無理せんでええって。

ついこの間、ほんのちょっと前のことだ。

なんだかすべてがめんどくさくなった。
仕事のことじゃないよ。めんどうな仕事はあるけど、めんどくさがってしまうと滞るから、自分だけの問題じゃなくなっちゃうから、やるし。

プライベートのほうというか、「生活」みたいな言い方のほうが近いかしら。

週末、正確には仕事を終えた金曜日の夜から、根が生えてソファーに沈んだ。

決して悪いことだとは思わないけど、「どうしようかな、やろうかな」などと考えていたすべてのことをやらず、とにかく何もせずに週末を過ごしてしまったことに、なんか心が重く感じたりしてしまう。
そうするとますます体も重くなる。


こうして日々の出来事をネット空間に書き殴っていることもあるんだろう。知人の皆さんは僕のこと、いわゆる「フッ軽」だと思ってるらしい。それとのギャップにもまた困ってしまう。

別に無為に過ごしたっていいのに。


2025年1月29日水曜日

悪童は乗るかそれとも。

今回今さらながらに見てみた映画は「バッドボーイズ RIDE OR DIE」です。


マイアミ警察のはみだしバディには毎度毎度楽しませてもらってますが、今回もすんばらしかったっすね。めちゃくちゃ楽しかったわ。ちゃんとアクションでちゃんとコメディ。

マイクとマーカス(ユージとタカではない笑)の弾けっぷりはもちろんサイコーなのだが――年齢を重ねてふたりとも無双状態になってるかもね(笑)――、今作の良さはそこに加えて、シリーズならではのキャストの使い方だったような気がする。

前作で殉職したバッドボーイズに理解ある上司が今作の物語の軸になってて、なおかつその彼の「成果」がカギになってくるところは絶妙。

それからチョイ役っぽく登場してたマーカスの娘の彼氏とか、敵役だったはずのマイクの息子とか、そのあたりの脇役だったはずの登場人物の「使い方」がいいのよこれが。

・・・これ以上は書けないが(^^;

前作のレビューで僕は『「次回作匂わせ」が蛇足』って書いてるんだけど、こんなふうにうまく消化してくれるならウェルカムよ。

むしろ「5」を期待してるわよ。

♪Bad boys, bad boys, Whatcha gonna do?


2025年1月28日火曜日

パラダイス・ガーデンの喪失。

若竹七海「パラダイス・ガーデンの喪失」を読む。
おなじみの葉崎市シリーズ。本の冒頭の『神奈川県には葉崎という市はありません。江の島あたりが突然隆起して、ものすごく細長い半島ができあがりでもしないかぎり、これからも存在しないでしょう』という文言を読むと思わずにやりとしてしまうぐらいには楽しんで読んでるシリーズだ。


舞台はその葉崎市、時期は例のパンデミックの最初の秋なのかな。その様子の描写が、今思うと悲痛でもあり滑稽でもあって(今後もうがい手洗いやってきましょうね!)。

それはともかくとして。

「あれ?あれ?」と、中盤、数多くの関係ありそうななさそうなたくさんの登場人物が出そろった(っぽい)ところまで読んできて、何か頭の中で引っ掛かりが。
そこで頭のページの「登場人物一覧」を確認してみようとしたら、その横に「プロローグ」が。すっかり忘れてた(笑)。

そのプロローグを読み返してみたんだが特に「引っ掛かり」が解決するわけではない(大笑)。
もう少し細かく言うと、つながりきらなかったけど少しだけつながって、だからといって何かがわかったわけではない、って感じ。まあ僕のミステリー読者とのしての力量はそんなもんだ。

・・
・・・

この作品のキーワードは「パッチワーク」か。

物語のモチーフにもなってるんだけど、たくさんの登場人物や場面が、やがてひとつに組み合わさっていく様はさすがの若竹作品。

もちろん、ちょいシニカルな筆致は相変わらず。

ただいつもよりも、その仕上がったパッチワークがあまり美しく感じられなかったのも正直な感想でもある。バランス悪く散漫なままのようでもあったし、もっと言えば本当にちゃんとパーツが縫いつけられたかどうかも・・・・。

今思うのは、答えがわかった状態で再読してみたほうがその人間「模様」がよくわかるのかも、なんてことだったりする。
謎解き部分を読み直したけど「さすが」だった。が。

余談。
主人公(のひとり)の房子さんのモノローグ、とっても気に入った一文があったので引用します。
『そのつど律儀にへこむ。自分のせいではないとわかっていても』


2025年1月27日月曜日

祝、皇后杯戴冠。

カップを「戴冠」って言うかどうかは知らんけど(^^;

アルビレックス新潟レディース 1(4PK5)1 三菱重工浦和レッズレディース○

開始11分のはなのゴールまでの浦和はすごかった。素晴らしかった。
ネガティブトランジションの強度と速度が抜群で、選手同士の距離感も良く、攻めるときのワンタッチのプレーが見てる側のテンションまでぐんぐん持ち上げてくれた。
得点シーンのゆずほのトラップとアウトサイドのパス、はなの推進力と強さ、鳥肌モンのスーパーゴール!!

準決勝の神戸戦同様、圧倒圧勝かと思ったんだけどね。

決勝は簡単じゃなかった、のか、準決勝のイメージを引きずったままの飛ばしすぎだったのか。

あるいは、とも思う。
二強時代に割って浦和が割って入った三強時代から、さらにひとつ先の群雄割拠時代に入ったのかも。
新潟、強かったもん。
途中からはボールもつなげるし、スペースの使い方も上手いし、少なくとも格下との戦いではなかった。
ただし、最後にPK戦まで逃げ切ろうとしたのは、自分たちを信じきれてなかった部分かもねと思う。

つまり新潟だけじゃなくて他のチームも強い(むしろ最近やった相手で一番弱かったの神戸じゃ?)。


だからリーグ連覇も簡単じゃない思う。
でも、だからこそ、取ろう。残りのタイトルも全部。


2025年1月24日金曜日

翳りゆくひと。[076]


[076]

前日の雨がまだ残る3日目の朝、ホテルから前の日と同じ道を歩いていく。
もうすぐマンションが見えるというところでわたしのスマホが鳴った。あっちゃんだ。

「もしもし、おはよう」
『あの、わたし、どこかに行くって言ったかしら』
「うん、明日引っ越しだよ」
『もう少しここにいたいのよ』
「え、でももう全部決まってるし準備してるとこでしょ」
『でもね、まだここに』
「とにかくあと2~3分で着くから、ちょっと待っててよ」

言葉を遮るように電話を切った。横を歩いていたみぃさんが少し顔をしかめた。

「今日はこんな感じなんだね」
「そう、日によって感じが違うし、なんとなく電話出るのも怖くてさ」

ひどく重たくなった足取りでマンションの階段を昇る。

「お母さん、おはようございます」
「早いわねえ。ごはんは食べたの」
「食べてきました。お母さんは?」

わたしから電話の件を話題にすることはしなかった。が、あっちゃんから言ってくることもなかった。
おそらくだが、みぃさんがいることによってわがままを言えなくなったということじゃないかと踏んでいる。本人がわがままだと自覚しているかどうかは別だが。
そうしてしばらく時間が経過すればきっと忘れてしまうはずだと期待していた。そして実際にそのとおりになった。

ほどなく雨が上がった。わたしは片付けの手を止め、みぃさんに声をかけた。

「郵便局に行って転居届出してくるよ」

こうした手続きは平日である今日にしかできない。あっちゃんから距離を置く、というのも本音ではある。

最寄り駅の少し先にある郵便局の窓口で事前に用意しておいた転居届を提出する。転送元の世帯全員の本人確認書類が必要になるので、マサさんとあっちゃんのマイナンバーカードも提示した。
転送先は老人ホームではなく、わたしの自宅に設定した。実際に何が送られてくるかもわからないし、必要に応じて対処しなければならないこともあるだろうから。転送期間の1年間の間にひととおりの対応は終わるはずだ。

「転送不可と書かれた郵便物は差出人に戻しますので」
「はい、承知しました」
「明日からの転送でよろしいですね」
「はい、よろしくお願いします」

郵便局を出たところで、SS社のイワキさんから電話が入る。明日の荷物の準備の手伝いに来てくれるという。

「ありがとうございます。大枠では準備はできていますが、確認の意味でももし来ていただけるのでしたらありがたいです。わたしは外出中ですが、妻がおりますのでよろしくお願いします」

こうしたひとつひとつの気遣いも仕事ならば当然なのかもしれない。けれどそのアクションには具体的な費用が発生しているわけではない。本当にいい業者に出会った。

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2025年1月22日水曜日

やりたいことって。

Bucket List、いわゆる「死ぬまでにやりたいこと」は、僕の中にも多少なりとも、ある。

5年ほど前にこの話題を書いたときには「書くことがない」なんて言ってるけど、それからの時間、いろいろと考えることも多かったし。特に老いた親を見ることで「これはちゃんとやっとかないと」と思うことも増えた。

でもねぇ、そうなんだよ――「やりたいこと」のリストの中には、「やっておかなきゃらならないこと(やっておくべきこと)」と、「やってみたいこと」の両方が混在している。

それは未来までにやりたいことの話だけではなくて、目の前の日々の「やりたいこと」の事柄にも当てはまるな、ということに気づく。
そしてこれらが混在していると優先順位のつけ方を間違えちゃうんじゃないか、そんなことも思った。

だって「やらなきゃならないこと」にはネガティブな感情が湧くし、「やりたいこと」にはポジティブな気持ちで取り組めるから、ついついネガティブ側は後回しになっちゃうでしょ。

本当は「やらなきゃならないこと」を片付けてから「やりたいこと」に取り組めば、心置きなく楽しめるはずなんだよね。それは頭では理解できる。
でもごっちゃにして、優先順位をつけ間違って楽しいほうから先にしちゃってさ、気がつけばリストの中身は“めんどくさいと思ってしまうもの”ばかりになっちゃう、と。


やりたいことって欲なんだろうな。人の欲、いや僕の欲って難しいし、それこそめんどくさい。


2025年1月21日火曜日

もじゃもじゃミステリ。

今回今さらながらに見てみた映画は「ミステリと言う勿れ」です。テレビドラマの劇場版ってやつです。
「なかれ」って言ってんのにタイトルにしちゃってごめんなさいね(笑)。


原作はちょびっとしか読んでないんでその視点で語ることはできないんですけど、少なくともこの映像作品の中では主人公のもじゃもじゃ頭のちょっと風変わりで気難しい大学生の立ち振る舞いこそが見どころなんだと思います。ストーリーも面白いんですけどね。

観察眼に加えて論理性、そこから導き出される人生訓というか、何らかの神髄や本質みたいなもの。

事件は事件として、その本質に迫っていく部分こそがこの作品の魅力なのだろうな、ということを改めて思いましたね。
気づきを得る、みたい言い方でもいいかもしれない。だから主人公の名は「整」(ととのう)なのだなと。ちなみに名字は久能。「苦悩」かしら、などとも思ったり。

その意味でも菅田将暉はさすがの好演だと思いますし、そのちょっと不思議なイメージづくりにあの“もじゃもじゃ”は大きく寄与しているとも思います。

そして今作のエピソードではそのもじゃもじゃが!皆まで言わんが。

我路くんという謎キャラの部分を除けばテレビ版見てなくても楽しめるんじゃないでしょうか。そう思いました。


2025年1月20日月曜日

週末踏んだり蹴ったり痛かったり。

この週末は仲間とのスキー×温泉の予定だった。が、大人の事情で直前キャンセルをしなければならなくなった。初滑りだったのに(号泣)。

途端に現地の天気予報、「雪・曇」だったのが「晴」マークに。
そして仲間からわざわざメッセージが届く。『ドピーカン!』
行けなくなった嵐を呼ぶ男こと私に感謝しなさい。ぷんすか。

ならばご近所でバスケの応援に行くかと思ってたら、なんとなく胃のあたりがしっくりこないので現地へ行くのはやめてバスケットLIVEの配信を見ることにした。

行かなくて良かったかも。

熱が出たわけでもないしのどが痛くなったわけでもないけれど、その夜、胃痛がひどくなってしまった。胃腸炎?
数分おきに胃袋をマッチョに握られてるような感じなの。身体を丸めてぐぬぬぬぬと冷や汗かきながら耐える。

そのうち、なぜだか足裏に痛みが走る「足底筋膜炎」の症状も久々に出てきた。なんやねん。


ただこの胃の痛みは何年かに一度襲ってくるやつで寝てしまえば回復することを経験則として知っている。
なので結局日曜日はほぼ寝て過ごす。よくこんなに寝れるもんだというぐらい寝た。
朝寝坊→朝めし→昼寝→ブログ書く(笑)→昼寝→晩めし→就寝。食欲はあるんでね。

翌朝までぐっすり。ヘンな夢は見たけども(笑)。
完調ではないかもだけど、ちゃんと仕事はできる月曜日。サラリーマンの鏡(苦笑)。

なんだったんだろうねぇ。まったくやんなるわ。

胃腸炎足底筋膜炎薄毛皮膚炎血糖値薄毛蕁麻疹薄毛老眼・・・悩み多きお年頃です。


2025年1月19日日曜日

上位で戦い続けるために。

サッカーには「シーズンダブル」と言う言葉がある。バスケでも同じような言葉があるんじゃないかと思うけど、知りませんm(__)m
ひとつのシーズンでホームとアウェイの両方で勝つ(あるいは敗れる)ことで、『上位に行くにはシーズンダブルをやられちゃならない』みたいな文脈で使われる。

今節の相手は徳島、今季の開幕戦アウェイで連敗した相手だ。
くしくもシーズン後半戦に入ったところでもあるし、上位に行くには絶対に2つ取り返さなきゃならない。

だからさ、ホントうれしいのよ、この結果が。

○東京Z 75-65 徳島

○東京Z 83-76 徳島

Game1はニヤニヤしちゃう快勝だったけど、Game2はどっちに転んでもおかしくない展開だった。
徳島の3Pは信じられないぐらい入ったし、ゾーンディフェンスにも苦しめられた。

でもアスフレだって積み上げてきたものがある。選手が個々の特徴を十分に生かしつつ、勝負所で集中力が上がるところ。
それがちゃんとスコアにつながった。

いやー、うれしい。ニヤニヤ。




2025年1月17日金曜日

小さな応援。

今日2025年1月17日は、“阪神・淡路”からちょうど30年の節目。
その1月17日は「おむすびの日」でもあって、神戸を舞台にした朝ドラ「おむすび」では、“東日本”を題材に今週の物語が進行している。

さらには当然のこととはいえ、この年末年始はさまざまな場面で“能登半島”が語られた。

いろいろなことを思う。自分の無力さも含めて。

そんな中、その能登を描くテレビ番組の中で、とある酒蔵が映し出された。
これまでも被害地域に対しては、小さな小さな支援だけれど続けてはきたけれど、この酒蔵については瞬間的に「応援しなきゃ」と思った。
なぜかは書かないけどもいろいろ察してくれ。


注文して翌々日には能登の皆さんの思いとともに、もう品物が届いた。
逆に、無力な自分ができる小さな小さな応援は、少しでも現地に届いたろうか。

2025年1月16日木曜日

翳りゆくひと。[075]


[075]

「では引き続きよろしくお願いいたします」

イノマタさんとウチコシさんを送り出し、わたしたちはまた荷物の準備に戻った。

「気になるからちょっと銀行行ってくるよ」

荷物の準備はみぃさんに任せ、わたしは昨日預かったばかりのあっちゃんの銀行口座の記帳に行くことにした。預かった通帳は4行ぶん。マサさん同様数が多い。文句を言うつもりはないのだが、改めてわたし自身は自らが老いる前に自分の周辺はシンプルになるよう整理をしたいと思った。
それはともかく、地方銀行の通帳記入はこの地でやっておいたほうが後々楽だ。

が、マンションを出ると小雨が降ってきた。駅前まで行ってると本降りになるかもしれない。とりあえず近場にATMのあるN銀行だけは記帳しておこう。

『この通帳は使えません 窓口までお越しください』

またこういうことが起こるのか。なかなかスムーズには事が運ばないな。
店舗に行くのは明日の平日ということなるので、しかたなくそのままマンションに戻った。まったくの無駄足だった。

あっちゃんの荷物の準備はひととおりダンボールにまとまった。
中身は明日最終確認するということでいいだろう。

あっちゃんがふと話し始めた。

「マサさんは今グッドライフっていうところにいるんだっけ?」

先月電話で話したのと同じ質問だ。

「いや、違うよ。グッドライフは明後日引っ越すところ。マサさんは今もさくら老健だよ」
「あら、さくら病院の斜め向かいのとこに移ったわよね。あそこがグッドライフ?」
「何?斜め向かいって。去年の夏からマサさんずっと同じところにいるよ」
「もうそんなになるかしら。でもおかしいわね、何度か行ったと思うんだけど」

話がまるで噛み合わない。
さくら老健の斜め向かいは確か1階に店舗の入ったごく普通のオフィスビルだったはず。強いて言えばバス停があるぐらいか。
断片的な記憶に何かを混ぜて再構築してる、そんな感じだ。この話はこれ以上膨らまないし話題を変えよう。

「荷物もだいたいできたから、そろそろ晩御飯行こうか」
「今日はホテルのレストランに行く?」

みぃさんがいるからだろうか、あっちゃんの見栄っ張りな部分が顔を出す。

「いいよ、ちゃんとした服着てないし、雨も降ってきたから」
「でもせっかくだし」

結局前日と同じマンションの隣のお好み焼き屋に行くことになった。「鉄板焼きもあるみたいだよ」と言って。

食事中、なんとなくあっちゃんを見ていた。普通に肉に手が伸びてる。食欲があるというか身体が欲しているというのか。
やはりちゃんとした食事が提供されるというのは大切なことだ。

食生活を含めた自分の弱いところを自分で認めてくれればいいのだろうけれど、見栄っ張りな性格も含めて難しいな。それができないから人間ってことか。本当に難しい。

帰り際、会計をしているわたしに一万円札が押し付けられた。老いた親におごられるというのもなんだか落ち着きが悪いが、へそを曲げないように一応受け取っておいた。

「じゃあ、明日の朝また来るから。薬しっかり飲んでね。傘借りてくよ」
「お母さん、また明日」

去年わたし自身が買ったビニール傘を持ってマンションを出た。わずかな間に外はすっかり土砂降りになっていた。

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2025年1月15日水曜日

便利屋稼業。

「もうタイヘン!」っていうほどではないとは思うんだけど、自分の思いとは裏腹に、なんだか忙しい。自分で自分の首を絞めてる気もしないではないのだけれどね。


それは期待でもあり評価されるのはありがたいけれど、便利屋扱いしてほしいわけではないのよ。という微妙な 乙女心 おじさん心。


2025年1月12日日曜日

やり返したぜ。

Game1の後に「負けたままじゃ終われん」って書いたのよ。

そしてそのとおり、点差も含めてキッチリやり返したぜ!!

○東京Z 72-62 東京U

特筆もんだったのは「守備強度」ね。
特にボールへはしっかりと寄せつつのゾーンDF、がんばってたよ。

お互いの守備の強度勝負みたいな試合展開だったけども、やり切ったね。うん、素晴らしかった!!
プレータイムをもらったイーサンも効いてたよね。

サイコーでーす!!(笑)



2025年1月10日金曜日

負けたままじゃ終われんよ。

強気に言えば、上位と差なんてないっ!!

というところなんだけど、最終的な点差よりも厳しい一戦だったかな。

●東京Z 73-83 東京U

リバウンドを取られまくったのが点差を離された最大の要因だとは思う。
でもね、高さの不利はこれまでだってあったし、守備を含めた「強度」が生命線だったじゃん。

ところが、やられたのは“逆”
相手の「守備の強度」に恐れた、と言ったら失礼だけどさ、慌ててのTO。それだけじゃなくて、普段なら余裕のあるはずのシュートまで慌ててるように見えたよ。
実際にはさ、ガツガツ来てる相手を1枚はがせば簡単にペイントまで入れたのにね。
シモもイデタクもスペンスも、ドライブかませば五分以上だったじゃん。


はい、やり返すヒントはもうわかってるよね。
後半だけならウチのゲームだったんだから。

・・・ダービーってのは順位とか関係ないの。やられっぱなしではあかんのよ。


2025年1月9日木曜日

見つめちゃいやーん。

今回今さらながらに見てみた映画は、2004年作品の「キューティーハニー」です。


サトエリ(佐藤江梨子)という“存在”があってこその実写化だとは思いますが、何よりその部分が素晴らしい!!
細かくは語らんが、見つめちゃいや~んと言われてもどうしたって見つめてしまう。そういうことだ。

それを大前提として、なおかつ「ちゃんとキューティーハニーだなぁ」と思いましたよ。
ちゃんと永井先生の勧善懲悪お色気ギャグマンガだったし。

役者さんの怪演も含めて、すごく楽しかった。ミッチーwww
正月映画はこれでいいのよ!!という気持ちです(笑)。

そして何より「やっぱ庵野作品だな」と感じ入ることも多かった。
  • たとえば、ストーリーを含めた原作への大いなる敬意。
  • たとえば、できるのにわざとチープにして見せる特撮部分。これもある意味オリジナルへのリスペクトか。
  • たとえば、登場人物がおっきくなっちゃうところ(これは「シン・ウルトラマン」ね)
  • さらには、こうした作品の中で妙な輝きを見せる(褒めてる)市川実日子という存在(これは「シン・ゴジラ」につながる)
などなど。

その意味では、これは一連の「シン」映画のプロトタイプでもあり、「シン・キューティーハニー」でもあったのだな、と思ったでござる。


2025年1月8日水曜日

翳りゆくひと。[074]


[074]

老人ホームに持ち込む荷物といっても、基本的には洋服が中心だ。あっちゃんとみぃさんが話しながらひとつずつ選んでいく。冬物も一応選んでおかないとならない。そして下着も当然必要で、そこにはわたしの出番はない。
持って行くと決まったものにはわたしとみぃさんで分担して名前書きをする。
こうして徐々に荷物がまとまっていく。

「お母さん、化粧道具とか洗面道具とかもまとめないとね。でも明日も使うでしょ?」
「もうあんまり化粧とかもしないわよ」
「でもひととおりは持って行きましょうね」

遅々として進まなかったが、荷物はようやくまとまった。ダンボール、3箱。
家財道具が不要だとはいえ、人ひとりが引っ越すのにたったこれだけなのか。

いや、感傷に浸っている場合じゃない。

そうこうしているうちに、シルバーサポート社のウチコシ社長とのアポイントの時刻になった。社長と一緒にマンションまで来てくれたのが、ナカジマ不動産のイノマタさん。
マンション売却の話を進めるための来訪である。

当初「このぐらいで売却できそうです」と言われていた金額だが、やはりエレベーターがないということで各社かなり減額を提示してきていたのだが、SS社の交渉によって当初額にかなり近いところ数字を出してくれたのがこのナカジマ不動産だった。これ以上は交渉の余地はないだろうということで、売却先としてナカジマ不動産に決め、そして今日はわたしとの最初の顔合わせになった。

わたしの横にはあっちゃんにも座ってもらって話を聞いてもらうことにした。
どこまで覚えててくれるかは不透明だけれど、心のどこかに「マンションは売る」ということが少しでも残ればと思っていた。

「このたびはいろいろとお世話になります。よろしくお願いいたします」
「こちこそ、よろしくお願いします。金額のことですが」
「はい、その件はイワキさんからもご連絡をいただいていますので、ご提示いただいていた額でお願いします。あ、そうだ。登記簿と売買契約書、見つかったんです」
「確認させていただけますか。はい、こちらで間違いないですね。最終的な段階で必要になりますので、息子様のほうでお持ちください。あと固定資産税の納税通知書も見せていただけますか」

売却の手続きは、所有者であるマサさんに代わってわたしが行う。今日はまずそのための委任の書類を作成した。マサさんのサインのところはあっちゃんに書いてもらい、押印した。
手を動かしたことであっちゃんにマンションを売るんだという記憶が残ればいいのだが。

今後の段取りとして、まずは契約の取り交わしをオンラインミーティングで6月ごろに実施、手付金が振り込まれる。次に司法書士とマサさんの面談が行われて、問題なければ売却が確定する、と。
その間にマンションの中を原状復帰――とまではいかないが「空」にしておく。処理作業はSS社にすべて任せることになっている。
そして手続きが整ったところで残金の振り込み、そして引き渡しとなるそうだ。おそらく引き渡しは8月末ぐらいではないか、そうイノマタさんは言う。

「売却にあたり、お父様のほうに売却益が出ますが、特別控除があるので税金はかからないと思います」
「今回は老人ホームへの住み替えの費用ということで、何がしかの控除のようなものはなかったでしょうか」

みぃさん、このあたりの話は少し詳しい。

「残念ながらそのあたりの適用はないと思います」

みぃさんはこの回答は予想していたはずだ。だが、ひと言言うだけで、なされるがまま事が進んでいるわけではないよ、というアピールにはなったかもしれない。助かる。

「税金のほうは控除になりますが、収入自体が増えますので来年の医療費などに影響は出るかとは思います」
「承知しました。よろしくお願いします」
「オンラインミーティングのURLは後ほどお送りしますので」

マンション売却の話がひと段落したところでウチコシ社長があっちゃんに話しかける。

「お引っ越しの準備のほうはいかがですか」

以前も聞いた話ではあるが、あっちゃんがたくさん持っている和服はほとんど売れないだろうということを改めてあっちゃんに説明してくれた。

「そうね、しかたないわね」
「大切なものだけ、どなたかに差し上げるのが一番かと」
「留袖ぐらいかしら」

本人も高価なものは持っていないと言っていたし、処分は致し方ないところなのだろうが、あっちゃんは少し寂しそうな表情に見えた。
だが、実際問題老人ホームに持って行ってもただの邪魔な荷物にしかならないこともまた確か。

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2025年1月7日火曜日

連勝簡単じゃなかった。

「外国籍、デカっ」

配信見始めて最初の印象。
単純な高さだけなら敵わないけれど、クイックネスとかアジリティとか、そうした部分で優位に立つことができた。高さで上回る相手にペイントで十分勝負になった。

その部分が目立つのは、ある意味一番やりたい形じゃないかな。

三重 77-91 東京Z○

じわじわ点差を離して快勝。
よしよし強いぞアスフレ。


が。

ごめん、Game1の流れがとてもよかったので応援、ちょっと気を抜いてたかもしれません。

ペイント内は対策をされてたように思うし、同じようにはいかなかった。
それでも競った中で、「最後は勝つもんね」ぐらいの気持ちだった。ごめんなさい。

三重 77-74 東京Z●

まさかあそこで「中」でなく「外」から攻めてくるとは。

反省反省。応援してる側も、最後まで集中して戦わなきゃ。

次節からまたやり直し。


2025年1月3日金曜日

自宅トレーニング[シーズン3]#27

12月、ちゃんと体を動かした感じがないまま終わってしまった。

かろうじてトレーニングは1回やったけども、そこまで「しっかりとやった」感じはないもんな。
続けていくことこそ何より大事、と言い聞かせながらまた今年も。


【2024年12月度】
加圧トレーニング:1回[自宅トレ通算244回]
寝起き素振り:20回
月間さんぽ歩数:約38万歩

計測
し忘れた・・・太った気はしている(涙)。

前月のトレーニング→コチラ


2025年1月1日水曜日

いこみき。~迎春~

い-こ-み-き【已己巳己】よく似ているもののたとえ。

あけましておめでとうございます。

新年を迎えて今思っていることはこれまでとあまり代り映えせず、特別に何か新しいことを考えているでもなく、まさに「去年とよく似てるな」ということです。

でも、同じことだろうとなんだろうとしっかりとそれを思い出して認識することもまた大切なことなのだろうし、お正月というのは(あるいは私にとっては年賀状を作る機会というのは)そうした時間になっているのだと思います。
今年もできるだけそうした思いを結び・つなげながら、いつものようにていねいに日々を過ごしていきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年賀状2025のメイングラフィック

年賀状のデザインの話をば。
2025年は巳年、ということから最初に浮かんだのがこの「いこみき」のことでした。
で、この已己巳己を、あたかも雷紋のように並べフレームとしてデザインしました。
雷紋は吉祥の象徴とも言われていますし。

今年は乙巳(きのとみ)でもあります。「乙」もまたよく似た漢字ですね(^^;

中央部分には3色に色分けられたへびの姿を描いたつもりです。特に左側の緑色のとこがちゃんと頭に見えるように工夫しました(具体的には25と26の数字のとこの●がへびの目になるように配置してます)

そしてご想像どおり、「仕掛け」もあります。
3色のへびも仕掛けとリンクするように配しています。

実は2024年の春ごろ、個人的に「一筆書き」に興味を覚えていまして、それが今回のメイングラフィックにつながりました。

答えはこんな感じですが(↑)、クリックせずにぜひご自身で「結び・つなげ」てみてください!!