2025年1月28日火曜日

パラダイス・ガーデンの喪失。

若竹七海「パラダイス・ガーデンの喪失」を読む。
おなじみの葉崎市シリーズ。本の冒頭の『神奈川県には葉崎という市はありません。江の島あたりが突然隆起して、ものすごく細長い半島ができあがりでもしないかぎり、これからも存在しないでしょう』という文言を読むと思わずにやりとしてしまうぐらいには楽しんで読んでるシリーズだ。


舞台はその葉崎市、時期は例のパンデミックの最初の秋なのかな。その様子の描写が、今思うと悲痛でもあり滑稽でもあって(今後もうがい手洗いやってきましょうね!)。

それはともかくとして。

「あれ?あれ?」と、中盤、数多くの関係ありそうななさそうなたくさんの登場人物が出そろった(っぽい)ところまで読んできて、何か頭の中で引っ掛かりが。
そこで頭のページの「登場人物一覧」を確認してみようとしたら、その横に「プロローグ」が。すっかり忘れてた(笑)。

そのプロローグを読み返してみたんだが特に「引っ掛かり」が解決するわけではない(大笑)。
もう少し細かく言うと、つながりきらなかったけど少しだけつながって、だからといって何かがわかったわけではない、って感じ。まあ僕のミステリー読者とのしての力量はそんなもんだ。

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この作品のキーワードは「パッチワーク」か。

物語のモチーフにもなってるんだけど、たくさんの登場人物や場面が、やがてひとつに組み合わさっていく様はさすがの若竹作品。

もちろん、ちょいシニカルな筆致は相変わらず。

ただいつもよりも、その仕上がったパッチワークがあまり美しく感じられなかったのも正直な感想でもある。バランス悪く散漫なままのようでもあったし、もっと言えば本当にちゃんとパーツが縫いつけられたかどうかも・・・・。

今思うのは、答えがわかった状態で再読してみたほうがその人間「模様」がよくわかるのかも、なんてことだったりする。
謎解き部分を読み直したけど「さすが」だった。が。

余談。
主人公(のひとり)の房子さんのモノローグ、とっても気に入った一文があったので引用します。
『そのつど律儀にへこむ。自分のせいではないとわかっていても』


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