2023年5月23日火曜日

天国屋敷の真実。

書店でふと目に留まった五条紀夫「クローズドサスペンスヘブン」を買ってみた。たぶん帯に書かれた「~氏絶賛」みたいなコピーに惹かれたんだと思う。

タイトルからも想像できるようにいわゆるクローズドサークル、絶海の孤島とか嵐の屋敷とかそういうシチュエーションのサスペンスミステリー。ただこの作品の特異なところは、その屋敷があるのがヘブン、つまり天国だという設定。


その設定の説明が難しい(笑)。
天国屋敷(もちろん「てんごく屋敷」なんだけど、作中で別の意味も明らかになる)に集められた6人は、いずれも記憶をなくしているが、おそらくは下界?現世?生前?は一緒に事件に巻き込まれたと思われ、その後このクローズドサークルに留まり、少しずつ判明してくる情報を手掛かりに、生前何があったかを解き明かし、そして成仏を目指す(?)という・・・なんだろ、流行りっぽく言うと「集団異世界転生もの」?

語り部となるのは最後に天国にやってきた通称ヒゲオ。
彼がミステリーとしての状況や疑問点をいちいち口に出してくれる。これは読者としてものすごくありがたい(笑)。でも彼も案外とんちんかんなキャラなんで、ミスリードには気をつけて(^^;

(o´(エ)` o).oO(...と「語り部=犯人説」はあるのかな?)

ほかの5人はヤクザさん、ポーチさん、オジョウさん、メイドさん、コックさん。

(o´(エ)` o).oO(...たぶん、この名前にミスリードさせる何かがあるのかな?)

・・
・・・

『クローズドサスペンスヘブン』・・・・そのタイトルが文中に出てきた瞬間、本当にありえないけどもドキュメンタリーを見てたかのような。

(o´(エ)` o).oO(...読者である僕もある意味ヘブンの住人になってた?)

そして何と言うか、真実にはたどり着いてほしくないというような気持ちも。それはすなわち、本当に「ラスト」になっちゃうということでもあるから。

・・・ミステリーでここまで儚くも美しいラストシーンって、稀な体験だった。

読後感をじんわりと楽しみながら、いろいろと思い出す。明らかになったことに、何ひとつの矛盾も感じなかった。つまり、ミステリーとしてもファンタジーとしても本当におもしろかったのだ。

(2023.5.25追記)
五条さんがこのブログを拾ってくれて、感想の感想を寄せてくれました(大感謝)。



0 件のコメント: