子どものころ、東京の「とても和の似合う町」に住んでたことがある(関連投稿は→コチラ)。
たまに食べさせてもらう甘味はもちろん和菓子だった。洋菓子ってのはよほどのことがないかぎり食べられるものじゃなかった――当時は日本中そうだったかも?
中でも僕が大好きだった和菓子は「きみしぐれ」。もちろん黄身時雨、という漢字なんて知らなかった。
小ぶりのまんまる。ひび割れのある薄黄色の皮。やさしい甘さ・・
・・・ということをすっかり忘れてた。その名前すら。
その町から引っ越ししてから全然食べてなかったのか、好物だったことを忘れてたのか、あるいは食べてたけど気にしてなかったのか、とにかくン十年の間きみしぐれについて考えたことはなかった、と思う。
だけど去年の夏ごろだっただろうか。
唐突に「きみしぐれ」という語が脳裏に浮かんだ。
以来ずっと気になってて、でもわざわざ買いに行くほどでもなくて、ようやくたまたま入った店に売ってたという機会が巡ってきた。
「ん、ちょっと期待してたのと違う」
表面の食感とか、あんこの味わいとか、記憶の味とズレがあるみたいです。
これはこれでおいしいけど、僕の好きだったきみしぐれじゃない。
これからは和菓子屋さんを見かけたら気にしてみてみよう。いつか思い出の味に出会えたら、すごくうれしいかもしれないから。
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