2018年11月16日金曜日

さんぽニスト、旧日光街道をゆく。その六

五街道のうちぶっちぎりで短い旧日光街道とはいえ、ゴールにたどり着くというのはそれはそれは高揚感があります。
東照宮の参道を上がり、陽明門をくぐったときの達成感たるや。思わず門をバックに、めったにやらない自撮りをしてしまいましたよ。今思うと強烈に恥ずかしい。アイアム奥ゆかしいジャパニーズ。

というわけで、さんぽニスト、旧日光街道を踏破であります!!ぱちぱちぱち。

*  *  *

朝一番、リスタート地点の下野大沢駅に向かう。ゴール目前ってことでワクワクしちゃってついつい宇都宮までは新幹線を使っちゃったり(^^;
乗車したのは山形新幹線「つばさ」。E3系の白に紫色の車両は非常に快適。だけどやっぱり銀色に緑ラインのほうのイメージ強いんだよなぁ。

ひと月ぶりの下野大沢。まだ朝日は低く、空はどこまでも青い。歩き始めると風はちょびっと冷たく感じる。絶好のさんぽ日和。
まずは大沢宿まで戻る――これだけでも軽く30分はかかるわけだが。そして本格的に日光に向けてのリスタートだ。

大沢宿を出てすぐ、いわゆる「日光杉並木」に入る。
国道の脇道のようになってるところもあれば、国道の両側に並木があるところと、場所によってさまざまだけど、いずれにしてもその中に入るとその威容に圧倒される。

高い。

無数の茶色い柱に、高い高い緑色の天井。森の中を歩いているような“匂い”は特に感じないけども、覆われているような感触は確かにある。清々しい(≠きよきよしい)というか、厳かというとちょっと言い過ぎかもだけど、なんだか上ばかり見て歩いていたかもしれない。
杉並木の中の歩道が突如なくなって(「この先ゆきどまり」の標識が)、小川の岸ギリギリを歩いて、しかも路肩のない国道に下ろされたときはちょいと怖かった。

大きな交差点や集落があると、その部分では杉並木は途切れ、しばらく進むとまた始まる、というくり返し。

何ブロック目の杉並木だっただろう。歩行者専用の道は広く整備されてて、両側には水路がある。
実は前日は雨だったので、水路には溢れんばかりの水が流れてて・・・って、溢れてるやん!
道の上をいく筋もの川が流れてて、という状態。飛び石を使うように少しずつ前に進むものの、ついに“冠水”状態に。あと10メートルほどで冠水エリアは終わるというのに。
ふと脇を見ると細い道がある。迂回できるかな・・・杉林の向こうの田んぼに出て、さらに畦道を進んでみたけど結局行き止まり。くっ余計なことをしてしもうた。
ええいっとばかりに冠水した道に突入。クツの中に水浸入・・・でもね、水がもんのすごく綺麗なんでね、結果的に気持ち悪いって感じがぜんぜんしませんでした。現金なもんで(笑)。ちなみにすぐに乾いたよ(^^;
前日雨の影響は、石畳のところに最も色濃く出てて、まあ滑る滑る。

視界が開けて「街だ」と思うと、そこが今市宿。
日光市の市役所は今は今市にあるんだね。宿場としては1つ手前なんでイマイチ違和感はありつつ(^^;
「道の駅日光」もここにあって、トイレのみお借りしまして先へ。

View this post on Instagram

#今市宿 #旧日光街道 #さんぽニスト

144factoryさん(@144factory)がシェアした投稿 -


まだまだ杉並木は続く。
と、前方から歩いてきたおじさんに声をかけられた。見ると腕には[観光ガイド]の腕章が。
「東照宮まで行くの?」ええ、二荒山も行きたいと思ってます。そういえば紅葉はどうですかね。「ちょうどいいんじゃないかな」なんて会話しながら、オススメ穴場紅葉スポットなんかを教えてもらったりなんかして。ガイドさんなんだからそういう情報は有料なんじゃないのか。ありがたやありがたや。
そういえば前回に引き続き、今回もすれ違う人すれ違う人に挨拶されたなぁ。駅前でもおはようって言われたから、観光客だからということではなくて、いつもどおりに自然に出たものなんだろうなって思う。栃木すばらしい。

今市宿を出てから、杉並木はさらに大きくなってきたような気がする。
まさに“鬱蒼”(うっそうって読めるが書けない)。この日は晴れてたから木漏れ日が入ってきてたからよかったようなものの、これが曇ってたりあるいは夕刻だったりして暗かったら、と想像するとちょっと空恐ろしいものがある。
同じような景色の中をただ歩いていると、本当に先に進んでいるのかそんなこともわからなくなってしまうような、そして木々の中に吸い込まれてしまうような、なんとも言えない不安感――。
ところどころ大きな杉の木には「日光杉並木オーナー」というスポンサー表示が掲げられてる。保全活動の一環なんだろうな。正直痛んでいる木も多い。

走り抜ける電車の音が聞こえる。僕の右側に東武日光線の線路がじわじわと迫ってきた。左にはJR日光線の線路が見え隠れする(JRはめったに走ってこないw)。
この2つの線路は日光駅でほぼ収束するわけで、「近づいてきてる」実感でもある。
と同時に少しばかり上り坂になってきた。

筋違橋を渡り、JRのガードをくぐると日光駅前に到着。杉並木はここまで。
でもまだゴールじゃないからね、そのまま坂を上り続ける。住所表示が「鉢石」に変わる。日光街道最後の宿場町、鉢石宿「はつ」いし、と読むってことは今回初めて知った。

View this post on Instagram

#鉢石宿 #旧日光街道 #さんぽニスト

144factoryさん(@144factory)がシェアした投稿 -


あー着いたな。日光橋を渡りながらこれまでの行程を思い返してしみじみ・・・してる場合じゃなくて写真撮影に興じる多くの観光客を縫うようにして進む(笑)。

世界遺産、日光の社寺。

東照宮陽明門をゴールにしよう。そうしよう。実は4年前に来たときは改修中で見られんかった陽明門。
そう決めてしまえば急に足取りが軽くなったような気さえする。


旅の無事と喜びを御礼し、ついでに坊主1号2号の将来についても祈らせていだきました。ありがとうございました。

ひとしきりお参りと最高潮の紅葉を愛でながらの散策をして、東武日光駅に戻り、帰りは東武特急「けごん」で。実はこの日は二社一寺が限定でライトアップされる日。道すがらのポスターで知ったんだけど、時すでに遅し、指定席予約済みだった。まあライトアップ開始まで時間を持て余しそうだったしね、悔いなし。
進行方向右側、西の窓から沈みゆく夕陽を眺めながら、日光の地酒をちびりちびり。再びむくむくと踏破の喜びが湧いてくる。

終点浅草、そして日本橋。「戻ってきました」ことを改めて再確認しつつ家路についた。
てか、特急、めっちゃはええ。



今回の行程:下野大沢駅~大沢宿~今市宿~鉢石宿~日光の社寺(→GoogleMapsのマイマップ)。お昼ごはんは鉢石宿の名店「魚要」にて「湯波そば」。湯波(湯葉)に出汁がしみしみのうまうま。もちろん挽きたて手打ちの蕎麦も絶品。おみやげは大根のたまり漬け。地酒は帰宅前になくなった(笑)。あとはお約束のレモン牛乳も買った。
ここまでの行程:[1]日本橋~越ヶ谷宿[2]~栗橋宿[3]~小山宿[4]~雀宮宿[5]~大沢宿[6]~日光


0 件のコメント: