キョンキョンのおすすめ第9弾、天童荒太「悼む人」を読了。そういえば映画化されてたと後で気づく。
日本全国の死者を「悼(いた)む」旅を続ける静人。悼むとは、冥福を祈ることではなく、その人の存在を自らの心の内に覚えておくようにすること。その人は誰を愛したか、誰に愛されたか、誰かに感謝されたか――。
各章のタイトルを借りるならば「目撃者」「保護者」、そして「随伴者」。この3人もまた、それぞれに死の気配をまとった人物である。
ひどく重苦しい話である。
主人公にもなかなか思い入れを持つことができない。
なのに、吸い込まれるようにページをめくり続けた。
死生観とでもいうのか、頭ん中を整理しなきゃならないことは多い。でも、それ以上に言葉にはなかなかできない「感じるもの」が多い。
この「感じるもの」を、僕は心の内に覚えておけるだろうか。
* * *
文庫版下巻の巻末には、僕がこの本を手に取るきっかけとなった小泉今日子の書評が収録されている。読後に改めて読んでみると実に感慨深い。うんうん。
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