キョンキョンのオススメ第7弾、森絵都「ラン」。
森絵都といえば「DIVE!!」の人だ、というぐらいの印象しかなかった。あれはスポーツものだけど読んでない。そしてこの作品は、ファンタジーだ。オススメされなきゃきっと読まないタイプの作品。
ファンタジーなのに「リアルさ」が際立つ気もした。
あっちの世界とこっちの世界。主人公は身内をすべてあっちに送ってしまい、こっちでは孤独。が、ふとしたことからあっちへの・・・・というところから物語はスタートする。
心地いい文章だけど、これだけだったら「うーむ」だったかもしれない。
ところが物語は予想の斜め上へ(ヒント:スポ根ものが書ける人で、タイトルが「ラン」)。
序盤であんなにキーマンだったあの人の存在とか、むしろどうでもいい方向に(笑)。
あっちの世界はあっちにあるはずなのに、こっちにあるような感覚。走り出しさえすれば届くような錯覚。
なんだろ、この作品は。すごくおもしろいんだけど、届かない人もいるかも。
きっとあれだな、走り出すと出てくる例の脳内物質を普段から感じているような、ランニングがお好きな皆様(僕からすると“ファンタジーな存在”なみなさん)になら心底届くような一冊なんだろうな。
『忘我、なんて言ったらおおげさかな。でも、言いたい。それはたしかにほかでは味わえない特殊な快感だったんだ。』
『優しい言葉。(略)どんな罵声よりも手痛い凶器となりうるかもしれない。』
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